第8話

[彼]とんでもニャい血鬼術 1
817
2020/02/22 14:54
※猫化注意
※おふざけ注意
※恋愛要素薄め
猫の日だからとか考えてなかったんですけど大遅刻だな


蝶屋敷で怪我の療養をして数日。
治りかけてきた俺の元へドタバタと騒がしく駆けつけてきたのは、意外にも炭治郎だった。

「善逸!!大変なんだ!あなたが…あなたが…!!!!」

いつもは取り乱さない炭治郎のこの取り乱し様。俺はあなたちゃんの身にとんでもない事が起きたのは瞬時に理解できた。
まさか、意識不明の重体になったとか、厄介な血鬼術にかかってしまったとか、それとも消息不明になってしまったとか…俺は固唾を飲み、炭治郎の次の言葉に耳を澄ます。
「あなたが…鬼の血鬼術のせいで''猫''になってしまったんだ!!」
「…………は?」

それは、世にいう「ご都合血鬼術」なのだとか。

*

「………」
無言でこちらを見つめるあなたちゃん。
彼女は確かに、猫化していた。
しかし俺は腑に落ちない。なぜ。
何故かって?

「世にいう猫化ってこう、人間に耳としっぽが生えただけのちょっとした猫化の事じゃないのぉぉお?!?!」
「何を言っているんだ善逸」
あなたちゃんを抱えている炭治郎が、俺を気持ち悪いものを見るような目で見る。やめろそんな顔を俺に向けるな!!!!
炭治郎に抱えられているあなたちゃんは一言「なぁ」と鳴いた。そう。俺は可愛い可愛い猫耳の生えたあなたちゃんを想像していた。しかしどうだ、現実ではそうはいかなかったらしい。彼女はきちんと隊服と羽織を身につけているものの、完全な猫になってしまっていた。
「とは言っても二足歩行は出来るみたいだぞ」
ぴょん、と炭治郎の腕から抜け出し、ひょこひょこと俺の前まで二足歩行で歩いてくる。
かわいい。いや可愛いんだけれども。
それでもまだ腑に落ちない。
もっと人間的に可愛いものと想像してた!!
「でも可愛いことには変わりはないか」
猫になったあなたちゃんを抱き抱え撫でてやると、気持ちよさそうにゴロゴロと喉を鳴らし俺にすり寄ってきた。うん…可愛い。人間の姿でも可愛いけど、猫になっても可愛いよ、あなたちゃんは。
その後胡蝶さんは震えながらあなたちゃんを診察し、「あと30分ほどで自然に元に戻ります」と診断された。
「ちなみに申し訳ないのですがあなたさんは元に戻るまで超屋敷には立ち入り禁止ですよ。衛生面もそうなのですが…その、私が毛が多い生き物は少し苦手で…」
と胡蝶さんが言うので、道すがら散歩でもしよう、と炭治郎が提案した。

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