※現パロ
※夢主が他の人を好いている描写あり
※年上我妻、喫茶店店員我妻がいます。
※恋愛要素少なめ。
どちらかというと我妻に励まされたい人向け
*
「…またか。」
はぁ、と思いため息をつく。
明るく光る画面に映る文字盤には、''別れて欲しい''の一文字が浮き上がっていた。
これで何回目だろう。
度重なる失恋にまたひとつ重いため息が出る。
気持ちが重い。
今までに付き合ってきた男の人は決まってそう別れを告げる。
私って重いのだろうか。
そもそも想いに重いもクソもないんじゃないのだろうか。人の人への想いなんだから重くて当然だろう。…私って、そんなに重い女なんだろうか。
好みのおかずをいれたお弁当、部活で体を動かし出た汗を拭くためのタオル、毎日欠かさずに告げていた私の彼への想い。
全部全部、「重い」の一言で済まされた。一蹴された。捨てられた。
「大好きだったのにな…」
夜の公園のベンチで1人呟く。
俯いて見えていたスカートに点々と染みができる。この景色は何回目なんだろう。
そんなことを考えてまた涙が溢れて止まらなくなる。
「どうしたの?どこか痛いの?」
突然降ってきた声に驚いて顔を上げる。
そこには、綺麗な金色の髪をした男の人が私を心配そうに覗いていた。
歳は20歳前後位なのだろうか、どこか大人びていて、身長も別れた彼より遥かに高かった。
私が泣いていたのに気付いて少しハッとした男の人は、優しそうな笑みを浮かべる。
「…ここじゃ冷えちゃうでしょ。近くに俺の店あるから、君が嫌じゃなきゃおいでよ。ご馳走してあげる。」
男の人は私に手を差し伸べながらそう言った。
一瞬戸惑ったが、優しい眼差しを携えるこの人が悪い人だとは思えなかった。
差し伸べられた手をおずおずと受け取ると、にこ、とひとつ笑ってから「じゃあ行こうか。」と私の手を引いた。
少しカサついている暖かい手だった。
*
続きます
3/10 訂正 タイトルの夢視点記載忘れてました
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。