私の腕を掴んでひたすら歩く広臣。
話しかけても、反応ナッシング……
二人きりになるのって高校生になってから、まさかの初めて?
広臣が私を連れてきたのは旧校舎の端っこにある、
ほとんど人が来ない“ 小さな会議室 ”だった。
薄暗くて、入るのがためらわれる……
広臣に無理やり部屋に入れられて、入ったはいいけど。
🔑 ガチャッ!
密室状態。二人きりで。
周りからしたらかなりやばい状況じゃん……
とにかく気持ちに気づかれないように平常心たもたないと。
そうでもしなきゃ、心臓止まるし。
そりゃーそうでしょ!
周りの女子の目が怖いし、何より緊張するもん!
これが限界です。
今は何を言っても変な事言っちゃいそうだからこれで終わりにしとく。
結局、あの男の子から岩田って人の事なにもきかなかったから、
どーゆーことか自分もわからない。
……んん?なんか動揺してる。
知り合いなのかも、聞いてみよっかな?
岩田って人、女子から人気らしいし、
嫌われてるようには見えなかったけど。
ちょっと強く言われたから、ちょっと強く言い返したけど、
広臣はなんで急にそんなこと言い出したのよ。
何か言いかけた広臣が近づいてきた。
そんなの、教えてもらったって結局結ばれないんだから。
ほんと意味わかんないよ。
久しぶりにちゃんと話せて嬉しかったのに、
そんなこと言うから、自分を締め付けることになったじゃん。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!