あまりにも話が壮大すぎて、
私には想像もつかないくらい轟くんが辛い思いをしていたと知って、
私は呆然としてしまった。
つんつん頭さんは、そう言い残して去ってしまった。
これからどうすればいいのか、
轟くんに、どんな顔をして会えばいいのか…
そんなことを考えていると、ふとリカバリーガールの声が蘇った。
轟くんが、炎を使わない理由…
さっき聞いた轟くんの家事情と重ねても、納得がいく。
だとしたら私は、轟くんに炎を見せてもらったあの日、傷つけていたのではないか。
そんな恐ろしい考えが、頭の中を横切った。
そんな時だった。
『あなたは昼飯どこで食うんだ』
『まだ食ってねぇなら食堂案内する』
轟くんからメールが来た。
盗み聞きをしておいて、堂々と会うのには気が引けたけど、
それよりも今は轟くんの顔が見たくて。
『今食堂向かおうとしてたとこだよ』
そう送ると、すぐに返信が来た。
『また迷子になんだろ、
案内するから救護室で待ってろ』
相変わらずの子供扱いにムッとしたけれど、
いつも通りの対応の轟くんだということに、少しの安堵を覚えた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。