その後、食堂でご飯を食べている時も、私たちは黙りこくったままだった。
元々口数の少ない轟くんは大して気にしてもいないことが、唯一の救いだった。
そしてまた沈黙。
傍から見たら、喧嘩中のように思われるだろうか。
二言三言の質疑応答を数分おきに繰り返すという、
少しばかり歪な食事を終え、
私たちは再び歩き出した。
少しおちゃらけて言ってみても、轟くんは黙ったまま。
やっぱりどこか私の知る轟くんじゃない
目の前の轟くん。
それでも、
いまいち私の質問の意図を理解していないようにも見える轟くん。
それでも
いつか必ず、
優しい轟くんに戻ってくれると、信じてるから。
きっと轟くんは沢山沢山頑張ってるんだろうから。
轟くんとなんのしがらみもなく冗談が言い合えるようになるその時のために…
私も_
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。