第76話

🍀
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2021/03/18 10:35
焦凍くんの様子が、おかしかった。

緑谷くんや飯田くんと話している時も、
いつもより私の方を注意深く見ていて…

その目は揺れていた。

両思いになりたいだとか、付き合いたいだとか…

そんな感情がないと言えば嘘になる。
だからこそ、焦凍くんとは必要以上に密接になることは避けた方がいい。


そんなことをすれば、簡単にこの決意が揺らぐことは、分かりきっているのだから。






でも、だとしても
you🕊
you🕊
…心配が消える訳じゃ、ないんだよなぁ…


この期に及んで、まだ焦凍くんに世話を焼こうとしている自分がいる。

自嘲気味に零したその言葉を拾ったのは、誰もいなかった。










︎︎


そして、もうあれから1ヶ月がたった。
you🕊
you🕊
焦凍くん…元気かなぁ

実際、適度に距離を置くというのはとても難しいことで。
カフェに行かずに寮で勉強したり、
何かの用事を理由に焦凍くんからの誘いを断ったり…

そうやって避けているうちに、焦凍くんとの距離は以前では考えられない程に開いていた。

もう2週間は会えていないと思う。

毎日のように会うことが当たり前と化していた私にとってそれは、酷く寂しくて。
何をしていても常に頭の片隅に焦凍くんがいた。



you🕊
you🕊
駄目だ、押してダメなら引いてみろ作戦に私がハマってる…
you🕊
you🕊
…勉強しよ



桜緋高校には飛び級制度があって、ある一定の基準を期末テストで超えると、

一足先に進級するかどうかが選べるようになる。

焦凍くんと距離を置いてから、
私は暇さえあれば勉強をした。


その結果、私は1学期の期末テストで、その基準を上回った。

つまり2学期からは高校2年生としての学校生活が始まる。



流石にその出来事は自分の中の大ニュースだったので、焦凍くんに報告したのだが…
『そうか、おめでとう』
だけ。


いつにも増して素っ気ないその返事に、少しだけ胸が痛んだけれど、気にしないふりをした。

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