第72話

🍀
2,569
2021/03/16 11:00
夜9時。

私は今、病院の研修棟にある自室で休んでいる。
学生は夜遅くまで実習が出来ないので、忙しい今でも私は蚊帳の外なのだ。
今も外ではサイレンが鳴り響いている。

そんな中で仮眠なんて取れるはずもなく、私はソワソワしながら部屋にいた。

怪我人が多いため、救急車が総出で出払っているのだそうだ。

事件自体はひとまず落ち着いた為、朝になればいつも通りの日常が戻ってくるだろう。





コンコン
you🕊
you🕊
はい
看護師
あなたちゃん、ごめんね夜遅くに
you🕊
you🕊
いえ、何かありましたか?
看護師
それが…


話を聞くと、ヒーロー殺しに偶然遭遇した高校生の1人の腕が酷い怪我らしく、

私の個性が必要なんだそう。
看護師
なるべく早い方が後遺症も軽くなるから…
看護師
ごめんね、疲れてるところに
you🕊
you🕊
いえ、やらせてください


見た目の特徴を聞いた限りでは、焦凍くんではなさそうだったが、後遺症のことを考えても、早く向かわなければならない。

私は脱ぎ捨ててあった白衣を羽織り、治療室へと早足で向かった。






︎︎
you🕊
you🕊
はぁ、はぁ
看護師
あなたちゃん!
you🕊
you🕊
これで、多分、終わりました_
 

目の前の男の子は、安心した顔で眠っている。

個性が聞いてきたのだろう。


しかし私の方は、
息切れとだるさが酷い…

やっぱり、"赤"を使うと厳しいな…
看護師
もういいよ、十分だ
看護師
早く戻って休みなさい…!
you🕊
you🕊
はい、そう、させていただきます…



今にも倒れそうな重い体を引き摺って、私は再び自室へと戻った。

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