寮について、部屋に入ると新着メッセージが届いていた。
『また、辛くなったら連絡しろよ』
たったそれだけの文面だったけど、轟くんの優しさが身に染みて、また泣きそうになってしまった。
『うん。今日はありがとう。助かった。』
それだけ送って、私は久しぶりに、深い眠りについた。
次の日、私は盛大に遅刻をかまし、さらにレポートも忘れるという大失態をおかした。
先生にもたっぷり叱られたけれど、何故かこれまでのように酷く落ち込んだりはしなかった。
心の中で、改めて轟くんに感謝しながら、私は本日初めての授業である6時間目の授業に急いだ。
寮に帰ると、メールが来ていた。
『これから救助訓練があるらしい。救助のことは詳しくねぇから、学校終わったらわかんなかった所聞いていいか。』
昨日私が医者を目指しているということを覚えていたのだろう。
断る理由なんてないので、すぐに返事をした。
『全然いいよ👍🏻✨昨日のカフェに居るから、そこで会おう❕救助の参考書も持っていくね📖』
普段絵文字なんて使わないくせに、少しでもいい印象になりたい、だなんて思ってしまって、
柄にもなくゴテゴテした文面になる。
引かれないかな?なんて不安になりながら、送信ボタンを押したのだった…
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。