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それは、数分前に遡る。
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実習1日目。
私は焦凍くんにメールをする暇もなく働き回っていた。
ドォォォン!!
あとひと仕事終えれば休める、そう思っていた直後の出来事だった。
物凄い爆発音と共に、サイレンの音、人の叫び声、バタバタと忙しなく動く足音が、
一気に聞こえてきた。
私の実習先であるこの病院は、保須の中でも1、2を争うほどの大きな病院だった。
その為、怪我人が次から次へと運ばれてきたのだ。
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そして現在…
ピーーーー
時間にすればまだ数分も経っていない。
それなのにもう目にしただけでも2人は死んでいる。
泣く暇も与えられることはなく、私はただただ患者の手当をした。
看護師さんが、私を安心させるために言ったその言葉を聞いて、
私は思わず持っていた物を落としかけた。
ということはつまり、
焦凍くんもいるということになる…
血の気が引いていくのが分かった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!