私は夏休みなので、特に何も無いけれど、
焦凍くんは明後日から1週間合宿に行くらしい。
最近はとうとう連絡も来ない。
断り続けたのだから、当たり前といえば当たり前だ。
でも、やっぱり、
寂しい。
そうやってうじうじしながら、もう時刻は午後7時を回っていた。
重い体を無理矢理起こして、キッチンに向かおうとする。
ピコン
相手は焦凍くんだった。
『明後日から合宿出会えなくなるから、明日会えねぇか』
もう会いたい欲が限界だったので、私はすぐに返事を返す。
『いいよ、会おう』
『どこにする?』
すぐに返事が返ってきて、
『展望台で少し話そう』
読み終えた瞬間、身体中に活気が満ち溢れた気がした。
そういいながらスキップなんてしていたことが焦凍くんにバレたら、
笑われてしまうだろうか。
先程より幾らか弾んだ声の一人言を零し、再びキッチンへと向かった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。