パタン_
ドアがしまった途端に、どっと疲れが押し寄せた。
用意してくれたお茶を、有難く受け取る。
コップ越しに伝わる温もりに、安心感を覚えた。
それから次の競技が始まるまでの一時は、てんてこ舞いだった。
リカバリーガールが重傷者の治癒を、私がさっきの生徒のような軽傷者の治癒を担当した。
無駄に個性を使ってもバテるだけなので、
治癒の際は1番効果が低い緑色の光を使った。
軽傷者なので問題はないことだろう。
いずれの生徒も、帰る時には決まってお礼をした。
と微笑みながら答えながらも、私は少し違和感を感じていた。
今までにお礼を言われたことが無いわけじゃない。
何か物を貸してあげたり、助けてあげたり。
そういったことは、何回かしたことがある。
その度お礼を言われたが、ここまで心のこもったものではなかった気がする。
社交辞令感が拭えなかった。
一通り治療が終わった時、リカバリーガールが声をかけた。
しかしその違和感は、
不思議と嫌ではなかった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。