前の話
一覧へ
次の話

第2話

君には敵わない
239
2021/09/10 17:11
ウィーンという機械的な音がして部屋の扉がスライドされた
あなた
……ころん、
ころん
あなた、起きてたの
あなた
うん、さっき起きた。ころんは?
お仕事終わったの?
ころん
終わってなかったらこの部屋に来てないよ
あなた
そっか。お疲れ様、ころん
ころん
……あなた、
名前を呼ぶその声に、細く白いその腕に、強く手を引かれた瞬間、顔がいっきに近づく。
あぁ、キスされる。頭では冷静に思いながらも、咄嗟のことにギュッと思いきり目をつむっていた。
あなた
……………こ、ろん……?
ころん
ふっ……キス、すると思った?
あなた
…………!
ころん
その反応、……そそるね。でも今日はお預け
あなた
どう、して…?
ころん
…そんなに、シたい?
あなた
…………、
ころん
いいよ、その代わり
あなた
…………?
ころん
あなたからシて、……ほら
そうやって私の顎を片手で持ち上げて悪戯っ子のように微笑む。今日のころんはいつにもまして、意地悪で甘えただ。
あなた
やだ………、
ころん
僕とのキスが?
あなた
そ、そうじゃなくて……っ
ころん
じゃあ………………僕が嫌い、
あなた
え……………
ころん
そうですか、あなたは僕が嫌いなんだね。気持ちはよく分かったわ
ころんは機嫌が悪くなると塩口調になる。そしてやけに寂しそうな背中を見せて私の心を揺らしてくるんだ。
今日だってころんの幼稚ないつもの手口。わかってる……わかってるのに…
あなた
……待って!ころん、お願いだから…!
ころん
何?離してよ。僕は忙しいんですけど
あなた
さっきお仕事終わったって言った…
ころん
明日の分を先にやる
あなた
ごめん……ころん、怒らないで…
ころん
別に怒ってないよ。はぁ…もういい?
仕事に戻る
深いため息に、心底面倒くさそうな顔…完全に起こってる。というか…不機嫌MAXモードだ。
こうなったら…、

プリ小説オーディオドラマ