ウィーンという機械的な音がして部屋の扉がスライドされた
名前を呼ぶその声に、細く白いその腕に、強く手を引かれた瞬間、顔がいっきに近づく。
あぁ、キスされる。頭では冷静に思いながらも、咄嗟のことにギュッと思いきり目をつむっていた。
そうやって私の顎を片手で持ち上げて悪戯っ子のように微笑む。今日のころんはいつにもまして、意地悪で甘えただ。
ころんは機嫌が悪くなると塩口調になる。そしてやけに寂しそうな背中を見せて私の心を揺らしてくるんだ。
今日だってころんの幼稚ないつもの手口。わかってる……わかってるのに…
深いため息に、心底面倒くさそうな顔…完全に起こってる。というか…不機嫌MAXモードだ。
こうなったら…、
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!