第13話

伝わらないように
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2020/09/19 14:49
大介「あなた…?」



彼が呼ぶ声でハッとした



大介「どうしたの?」


「ううん、なにもないよ!」


大介「滝沢くん帰る時挨拶しにきてくれたのにあなた全然戻ってこないからさ」


「え?ごめんね!」


大介「なにかあったの?」



さっきの話を全てすると彼はどう思うのだろうか



そう考えるととてもじゃないけど言えない



「みんなの前で話すから、戻ろっか」


大介「わかった!」



私たちは楽屋へ戻った



康二「遅かったやん!なにがあったん?」


「あのね、みんな…」


「とある事務所からモデルのスカウトがあったみたいなの」


亮平「えぇ!?すごいじゃん!」


涼太「この前の雑誌見て?」


「そうそう」


蓮「あれはスカウトしたくなる」


翔太「そんな物好きどこに…」


「しょっぴー失礼だよ」


照「で、どうするの?やるの?」


「うーん…迷ってる」


ラウ「えぇ!?やればいいのに!」


「これからの人生が決まるわけだからさ、ゆっくり考えるよ」


辰哉「まあそうだよな」


大介「そっか…」



彼の顔がどこか寂しそう



大介「ちょっとトイレ」



と言って彼だけ出て行った



「みんな、あのね、大介にはまだ話したくないんだけど…」



私は社長に言われたことを全て話した



翔太「まじかよ…」


康二「残酷すぎやん?」


「でも無理ないよ、新入りが人気アイドルとつながりがあるなんて、いいと思う人の方が少ないよ」


照「まあ確かにな…」


ラウ「僕はそんなの嫌だ!」


亮平「ラウール…」


蓮「俺も嫌だよ、でも、あなたが決めるべきことだから俺らがとやかく言うことではない」


辰哉「まあそうだな」


涼太「でもさ、なんで佐久間と付き合ってるって言わなかったの?」


「みんなにも会うなって言われてるのに付き合ってるなんて言ったらどうなるかわからないじゃん」


照「言いたいことはわかるよ」


亮平「んーでもそこまで気にすることではなかったと思うけど」


辰哉「確かに滝沢くんは別れろとは言わなかったと思うよ」


「うん…でもそれ言われるのが怖かったから…」



と言った瞬間ドアが開いた



大介「あれ?みんなどうしたの?暗い顔して」


亮平「ん?なにもないよ?」


照「あっ、佐久間、このあとだけどさ〜…」



とみんなが誤魔化してくれた



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