開演直前
今までは緑にしていたペンラ
今日からはピンクにする
「ふふっ、大介喜ぶだろうな〜」
もちろんうちわも彼のに変えた
そして暗くなりお客さんの黄色い歓声と共にステージ上が明るくなる
今日の私は通路の目の前
いつも以上に気付いてもらいやすい場所にいる
彼らのパフォーマンスを見ているとやっぱりかっこいい
みんなかっこいい
そして彼が近づいてくる
毎日会ってるのに緊張する
私の前に来るより少し手前で他のお客さんにファンサを送る彼
それを見た私の胸が少しズキッとした
そして彼が私の前を通る時
彼は私を特別扱いしなかった
手を振る、ただそれだけだった
でも今はそれでいい
変なことして炎上なんてされたら困る
でも他の子に投げキッスとかしてるのを見るのはきつい
次に通る彼
今まで私が応援していた彼
私の前に立つと私の頭をポンポンと撫でてくれた
嬉しかった
「はぁ、阿部ちゃん…」
つい彼にうっとりしてしまった
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。