先生はいつも私を呼ぶ 。
そして 、癖のある言葉でこう言うの 。
「上田 、これ頼んだで」
『わかりました』
染めたこともない黒髪に 、ノーメイク 。
スカートはもちろん膝下 。
全てが優等生に見える私 。
そんな私の唯一悪い部分 。
それは 、理科室に行けば分かるはず 。
ガラリと音をたてて開いた扉の先 。
そこには眼鏡をかけて熱心に本を読んでる先生の姿 。
『先生 、』
「あ 、上田 。ありがと」
私からプリントをもらう ……… と見せかけて先生は私の手を引っ張った 。
『わっ』
気づけば先生の腕の中 。
『ちょっと 、ばれたらどうするの』
「大丈夫やって 。誰も気づかんよ」
そう言って先生は私に口づけした 。
『先生 、学校ではだめだって』
「先生やない 。廉って呼んで」
『廉』
「よくできました 。あなたはいい子やな」
『 ……… 子ども扱いしないで』
私が拗ねたふりをすると 、はは 、と笑う廉 。
「ごめんな 、あなたが子ども扱いされるの嫌いなん忘れてたわ 笑」
『いじわる』
「ごめんごめん 、」
あとでデートしたるから許して ?
なんて 、可愛い顔で言ってくる廉は確信犯だ 。
廉は23歳で 、もちろん大学も卒業済み 。
お酒も煙草もできる 。
それに比べて私は現役の高校2年生 。
できるものといえばバイトだけ 。
そんな私とれ …… 先生の関係 。
バカじゃない人は分かるはず 。
あなたも分かるでしょ ?
私と先生の関係は 、
禁断の恋 。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。