{歌恋side}
帰り道。
私は玄関の前で待っていた。
世良は、ニコリと無邪気に笑った。
私の心臓はドキドキと高鳴った。
ーーカッコいい。
思わずそう感じた。
私は世良の背中をトンっとたたいた。
なんか、世良…顔赤い?
私は、歩きだした。
世良は私の隣に並んで進む。
世良は、私よりも少しだけ背が高い。だから、横目で見ると少し見上げる形になる。
私は横をチラリと見た。
すると、目があってしまった。世良は恥ずかしそうに、でも不器用に笑ってくれた。
私は、この人をどこまで好きになればいいんだろう。
ーーそんな瞑想をしていたとき。
世良が声をあげた。
私はびっくりして前を見た。すると、そこにはすり傷などがところどころについたみおちゃんがすぐ近くの公園にいた。
私達は思わず駆け寄った。
りゅうき……?
もしかして、龍騎っていうのは、あの暴力団のーー
みおちゃんを追いかけてきた龍騎は、ニヤリと笑った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!