第21話

男二人。
214
2018/05/19 12:37
次の日の学校の帰り。

私は、自動販売機でみかんジュースを買った。

……そーいえば、世良もこれ、好きだったな…。


小学校の頃は、よく帰りにこっそり買ったものだ。
…まぁ、先生に3回ばれたんだが……。




あぁ、また世良のことばっかり。
何してても必ず世良のことになる思考回路をなんとかしたい。


私は、葵先輩なんだから……。










家に帰ると、タイミングよく葵先輩から電話が来た。
涼野 歌恋
葵先輩?
宮坂 葵
あぁ、歌恋ちゃん!
実は、昨日近くにケーキカフェがOPENしたんだ。
今日遅いけど、行く?
私は一瞬言葉につまったが、パアッと明るくなってすぐにOKをした。

でも、心のもやもやは消えない。





先輩と6時に待ち合わせをした。
今はまだ5時10分だし、着てく服でも決めてようと、クローゼットの前に立った。












{世良side}


新川 世良
歌恋っ!
どこだっ!?
オレはまだ、手当たり次第走り回って歌恋を探していた。
あのまま誤解されたくはねぇ………!

そのとき、新しくOPENしたケーキカフェの店の前で葵さんが立っているのを見かけた。

葵さんは、オレも歌恋を通じて知り合った。
何かといい人だが…、今日は妙な胸騒ぎがする。
新川 世良
……葵さん?
葵さんはこっちを振り向いた。
宮坂 葵
…世良?
久しぶりだね。どうしたんだい?
新川 世良
歌恋、知りませんか。
宮坂 葵
歌恋ちゃんは、これからオレとデートだよ。
新川 世良
……!?
オレは一瞬意識が遠のいた。

まさか、オレと葉月を近づけるために、葉月を悲しませないように、諦めて葵さんを……!?



自惚れているみたいだが、それだけは確信だった。
根拠はないのに、なぜか。

そう思うと、自然と冷静になった。
新川 世良
……いずれ、歌恋はオレが奪います。
覚悟していて下さいね。
宮坂 葵
ふふ……。
その口ぶりからは、歌恋ちゃんが好きってことだね。
……いいよ。望むところだ。
オレは先輩に一礼して、その場をさった。


ーー歌恋は、渡さない。

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