第26話

正々堂々。
201
2018/05/21 13:51
{歌恋side}



私は今、電車に揺られていた。

もう少しでいつもの街に帰る。



私は、窓にもたれかかった。

先輩に、申し訳無いな……。
あんなに私のことを思い、好きでいてくれたのに。

私は、スカートの裾をぎゅっと掴んだ。




ガタタッ


電車のドアが開いた。
私は、一目散にかけでた。

先輩の好意を無駄にしたいために。
涼野 歌恋
世良っ………!
私は、手当たり次第駆け回った。

私は、みおちゃんの家の前を通った。
葉月 みお
あれ?歌恋ちゃん?
みおちゃんはちょうど、二階のベランダの洗濯物をよしていた。

みおちゃんは慌てて階段を降り、玄関を開けてこっちへきた。
葉月 みお
どうしたの?
私は、一瞬言うべきか迷った。


ーーでも。

みおちゃんに世良は譲れない。
涼野 歌恋
世良を、探してるの。
葉月 みお
え……、なんで?
みおちゃんは少し眉をひそめた。

私は、ひるまなかった。
涼野 歌恋
世良に話があるの。
葉月 みお
どんな?
………………………もしかして。
涼野 歌恋
そうよ。
私とみおちゃんは、しばらく見つめたまま動かなかった。

やがて、みおちゃんが口を開いた。
葉月 みお
私は……、世良くんしかいないの。
震える声で言った。

少しだけ胸が苦しくなったが、私だって譲れない。
涼野 歌恋
私だってーー、世良が好きだもの。
正々堂々勝負しよう。
私はみおちゃんの目を見透かすような目を向けた。

みおちゃんは、言葉に詰まった。


こそこそしないで、勝負しようよ、みおちゃん。
葉月 みお
っ…………。
分かった。ごめんなさい。
みおちゃんは、うつむいて、家へ入っていった。

私は、みおちゃんに少しお辞儀をして、また走り出した。







公園の近くに行った、そのとき。
久保田 龍騎
今日はお一人ですかぁ?
もう聞きたくない声が後ろから聞こえた。

プリ小説オーディオドラマ