私の初めては、葵先輩に奪われた。
でも、どうして嫌だと思ったんだろ……。
私はあのまま、駆け足で家に帰った。
そういえば、先輩
返事よろしくね。
って言ってた。どうしたらいいの……?
葵先輩は、ほんとにいい人なのに、なぜすぐにOK出来ないんだろう。
まだ、世良のことーーー。
そのとき、後ろから声がした。
世良……!?
私は逃げたい気持ちと、話したい気持ちであたふたしているうちに捕まった。
私は振り払おうとしたが、男子には敵わない。
世良が口をひらきかけたとき。
………まただ。
どうしていつも邪魔したがるの?
…そういえば。
私と世良がいると、いつもやってきた。
もしかして……、
私か世良を、監視してる?
私はゾクッとした。
ーーみおちゃんは、ホントに一途だ。でも、その恋は
……アブナイ恋なんだ。
世良は、少し不機嫌そうにみおちゃんを見た。
世良は、困った顔をした。
前からずっと一緒にいたから分かるけど、あの顔はホントに知らない顔だ。
覚えてないわけじゃなく、知らない。
みおちゃんは、世良の手をとった。
ズキンっ
今までにない胸の苦しみが襲った。
そうだった、二人は……。
私は乱暴に言い捨て、その場を逃げ去った。
その声は、遠くに消えた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!