高校2年生の7月。
私、涼野歌恋は葉坂高等学校に転校してきた。
親の仕事の都合だった。
転校してきたあの日。私はある男の子に出会った。
クラスの人たちは、笑って迎えてくれた。その中で、こっちを目を見開いて見ている男子と目があった。
私の心臓はどくんとはねた。
そこにいたのはーー
私の幼なじみで初恋の、新川世良がいた。
ーー休み時間ーー
私は舞い上がった。
ずっと会いたかった人。
夢みたいだ。
私がそう言いかけたとき。
私の知らない、大人しい女の子がきた。
…誰だろう。
私はわずかなヤキモチを内に隠した。
そのまま、世良はそっちへ行ってしまった。
私はため息をついて、席に戻った。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。