その日の帰り。
世良が、玄関で私を待っていた。
私は相手な気づかれないうちに下駄箱の後ろに隠れたから、ぎりぎりバレなかった。
いつもなら、舞い上がるほど嬉しいのに………。
私はドキッとした。今にも出ていきたい。
でもやっぱり、しつこいくらいにみおちゃんが頭に浮かんでくる。
私、だめだな…………。
結局、世良は諦めて帰った。
私は涙をぐっとこらえて、家に帰った。
次の日。今日は学校が休みだった。
私はトボトボと近くの公園の周りをフラフラしていた。
そのとき、後ろから声をかけられた。
この声って………!
私は嬉しくなって駆け寄った。
葵先輩は、手に本を持っていた。
私は、胸がときめいた。
やった……!
私は、隣に並んであるきだした。
先輩からの誘い……。
私はフフッと笑った。
私はニコリと笑った。
先輩は、そっかーと微笑み、私の頭をまたぽんっと叩いた。
ドキ………。
まただ。またドキドキしてる。
私は気にしないようにして、前をむいた。
先輩がそうつぶやいたのを、私は聞き取れなかった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。