第33話

[番外] エイプリルフールは、砂糖多め。
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2018/05/23 11:22
4月1日。

世に言う"エイプリルフール"がやってきた。

私は、どんな嘘をついてやろうか悩んでいた。






付き合ったばかりだけど、世良はやっぱりモテるから何度も告白されている。
だが、自分で言うのもあれだが、私も結構(10人くらい?)告白されているからお互いそこまで気にしていない。
………でも、私は耐えられるほど強くない。


そこで私は、"世良のことが嫌いになった"と言ってみて、世良がなんというか
検証することにした。
涼野 歌恋
悲しんでくれるかなぁ……。
今日は学校の日。
周りが騒がしい中、私は不安で、ずっとため息をついていた。

そして、勇気を出して世良のもとへ行った。
涼野 歌恋
世良!
世良は私に気づくと、ニコッと笑った。

うう…、カッコいい。


この笑顔を壊したくないな……。
新川 世良
どうした?
涼野 歌恋
ちょっと話があるんだけど、ついてきて……。
…自分で計画したのに、なんで不安なんだ。

私はとりあえず、人が全くと言っていいほど来ない屋上に続く階段の一番上の踊場まで行った。


新川 世良
…それで?
何かあったのか?
世良は、心配そうに私をみる。
私は震える手を握りしめ、か細く言った。
涼野 歌恋
わ、たし……。
世良のこと………嫌いに、なった。








少しの沈黙。

私は泣きそうになった。
あーあ。私バカだなぁ。

こんなことして嫌われちゃったなんて。



でも、私を包んだのは、優しいぬくもりだった。




世良が、私を抱きしめたのだ。
涼野 歌恋
っ、せら……!!?
私はドキドキして、体が固まった。
新川 世良
…バーカ。見え見えの嘘つくなよ。
世良はふふっと笑った。


ば、バレてる!?
新川 世良
そんな辛そうな顔してこんなこと普通言うか?
涼野 歌恋
ぐ、っ………。
ごもっともだ。

ばかだなぁ、私は……。
新川 世良
なんでこんなことしたの?
涼野 歌恋
だ、だって…。
世良はモテるから、私のこと好きじゃなくなっちゃう気がして……。
私、強くないから耐えられないの。
私は顔を赤く染めてうつむいていった。

…嫌われちゃったかな?




しかし、顔を上げた私の目に飛び込んできたのは、私に負けないほどの真っ赤な顔に染まった世良だった。








新川 世良
な、んだよそれ………。
可愛すぎて、耐えられない。
世良はつぶやくと、私にキスをした。
涼野 歌恋
っ!!!???
私の心臓は壊れそうなくらい動き回った。

ちょ、心臓ヤバ……!
新川 世良
オレは歌恋だけだよ。
涼野 歌恋
……うん。
私と世良は、もう一度抱きしめあった。

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