―――私は失恋した。
世の中で生きていくのが嫌になり、尼の道へと進んだ
…私がお師匠様と慕う方の尼寺で、多くの事を学び、人間、男女、この世とあの世…あらゆる事を知れた。
失恋の傷もいつしか癒え、忘れかけていたある日
私はお師匠様に留守を頼まれ、尼寺に一人、庭掃除をしていた。
高くなった空を仰ぎ、秋の気配のする風に深呼吸する
お師匠様が帰る前に…と、せっせと仕事をこなしていると、黄色い羽織を着た長髪の人が訊ねて来られ…
私は私の勝手な事情で逃げ出した……
全くの私情で―――
私は顔を背け、気持ちを悟られまいとする
―――グイッ!
私は腕を捕まれ、本堂の裏へと連れて行かれた
そんな顔をされると……青い期待に心が支配されて……
壁ドンされて、嘗て好きだった人の顔がこんなにも近くにあって…―――
涙が両目から溢れ、掌で拭うも拭い切れず……
壁ドンされてたことをいいことに、善逸くんとの距離はあっという間に縮まって…
着物の隙間から善逸くんの手が入り、私の敏感なそこを責められて
私はやっぱり、自分の気持ちに嘘はつけない……
どんなに嫌われても、死んでも、この人が好き……―――
―――ズッ……
痛みに想いが勝り、快感に変わる……
嫌だった事が、全て白紙にされる
この世界には、私とあなたしか居ないような………
口を手で抑え、声が漏れないようにする
それが善逸くんには良かったみたいで……
――私達は、暫く繋がったままで…
――――――そして、事の経緯をお師匠様に伝え、尼見習いの私は、善逸くんと共にお師匠様の元を去った
「好きなら、もう二度と、互いの手を離してはいけませんよ?その覚悟はありますね?」
―――ずっと、離さないでね……♡
end.
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読んで頂き、ありがとうございました。
我妻貴子名で書いている小説に「尼さんになろうかな」との言葉があったのと、普段から「鬼滅の世界に居たなら、自分は間違いなく失恋して尼になっただろうな…」とよく思ってるので、それをストーリー化してみました。
尼の格好で、成長した善逸くんと寺裏で……何と罰当たりな破廉恥なもうそうでしょう(笑)
これに懲りずに、次回もお楽しみに〜꜆꜄꜆꜄꜆
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!