あれから数日たった昼休み。
いつもと変わらず、2人で昼食をとる。
少しして、クラスの女子が何か私たちのことで話していることに気がついた。
ナマモノは禁忌だって言ってるだろうが!
いや…そういう話ではなくて、まさか噂されるようになっていたとは…
なんだろう。やっぱり何か違和感を感じる。
有り得ない。その言葉で私は胸が締め付けられるような感じがした。分かってはいたものの、当人の口から出た言葉を聞くとかなりダメージを受けた。
本当になんて質問をしてしまったのだろう。なんの得にもならなかったじゃないか。
なんというか、一刻も早くこの場から逃げたかった。
食べかけの弁当箱を片付けながら、足早に教室から出ようとした。
引き止められてしまった。本来ならば友人に手を掴まれているこの状況、たいへん嬉しいはずなのだが、今だけは苦痛だった。
私は思わずその手を振り払って、教室を出た。
この時友人はどんな目で私を見ていただろうか。
考えるだけ虚しかった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。