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第3話

第2話 youraiが連ねた空想物語
俺は歌い手バンドグループ、Starry Nightにてボーカルをやっている。
 ある日、一人の男が俺の所にやってきた。何事かと思えば、バンドグループの誘いだった。
 迷惑をかけないようにと早くに親元を離れ一人暮らしを初めて、もう10何回目かになる夏の日だった。
 ただ暑苦しいだけの日々が続いていた、なんの楽しみもない夏の日に、そいつは俺のところへ来た。


 「今日も暑ぃな…」
 そんなことを心の中で考えつつ、俺はいつも通りPCに向かって仕事をしていた。人と直接的に関わることは滅多にない、所謂ネットビジネスというやつだ。
 学生時代からほとんど人と関わってこなかった俺にはうってつけの職。

 …ただ、本望はこれではなかった。
 音楽がやりたいと、ずっと思っていた。
 中学生のときだったか、ネットを漁っていて見つけたある一曲がずっと心に残っていた。
 俺もあんな歌詞を書きたい。俺もあんな風に思い切り心から歌いたい。俺も、仲間をつくりたい。
 そういう思いはあったものの、訳あって友人も少なかったし、願いも叶わないままあと2ヶ月で27歳だ。
 それにしてもなんで俺の数少ない友人らはあんなに人脈が広いんだ、俺にも分けてくれ。

 気付けばそんなことを考えている脳を無視して、タイピングに専念する。
 窓際の机で作業していると、強い日差しのせいでやはりじんわり汗をかいてくる。何故かここにだけレースカーテン以外のカーテンがない。今度採寸して、Amazonででも注文しよう。
 俺は立ち上がって伸びをした。
 声は別に発さない。話してくれる相手も、独り言を聞いてくれる相手も、この家の中にはいないからだ。
 台所に歩いて、アイスを一本取り出す。有名な、あの半分に割って食うやつだ。
 それを咥えながら音楽プレーヤーで音楽を流し、再びPCと向き合った。

 俺は、歌が好きだった。
 人によって違う声のトーンやキーや質。誰一人として、何一つとして、同じ歌というものはない。
 透き通る低音も、耳に優しく深く届く綺麗な高音も、重低音も超高音も、美しい歌なら何でも好きだった。
 俺自身も歌うのが好きだった。喉からころころと出ていく自分の音が好きだった。

 すると音楽プレーヤーから、音楽に思いを入れるきっかけになったあの曲が流れる。フレーズ一つ一つを身にしみて感じながら、タイピング音を右耳から左耳へと流していった。
 そんな時、急にインターホンが鳴った。
 まだカーテンは注文していないのにこんな昼間から何だと思いつつも、それに対応するためにメモ帳を持って玄関へ向かった。
 そこには、一人の見知らぬ男がいた。
 俺より身長は少し低くて、朗らかそうな顔つきと雰囲気のその男。俺を見るなりお辞儀をして、「これ、よかったら」と紙袋を渡してきた。それには暑中見舞いでよくあるようなゼリーと、1枚のCDが入っていた。
 俺はその男の声とCDではっとした。確か、この声は聞いたことがある。

「あの…突然で申し訳ないんですけど、俺アーティストやってるんです。」

 やっぱりだった。この男の歌を聞いたことがあった。

『聞いたことあります』

 俺がそう伝えると、男は表情を明るくして話を続けた。

「本当ですか!ありがとうございます!
 それで…なんですけど、今俺、一緒にバンドやるメンバーを探してて、ネットと友達を辿っていったらあなたを見つけて…その、よかったら一緒に活動しませんか?」

 一緒、思考が停止したような気がした。
 人違いではないか?誘う相手は俺で本当に合っているのか?
 名前を呼ばれて再確認された。間違いではなかったらしい。
 俺がとあるサイトに載せていた自己紹介から辿って、俺を気遣ってわざわざ家まで来てくれたのだろう。
 俺は未だに理解が追いつかないながらも、その誘いに頷いた。
 俺の歌を披露させてもらえる場所があるなんて、思いもしていなかった暑い夏の日だった。
 理解が追いつかない一方、その男の身の一瞬の証明で、嬉しさと信頼は、確かに存在していた。




 ─なんて話は、全て創りものだ。