体温計には37.5℃の表示
風邪だね
このくらいの熱が一番つらい
高い熱を出して薬飲んで寝るほうが
まだ治りやすい気がするもん
....♪
オッパからの電話
バレないようにしないと
心配させちゃう
今すごく忙しいはずだから
余計な心配はかけちゃダメだ
すっごく冷たい声
いつもクールだけど
こんな声初めて聞いた
たぶんめちゃくちゃ怒ってる...
ブチッと切れた電話
どうしよ...とは思うものの
悩む気力さえ今はなくて
目を閉じてとりあえず楽になるように
身体を休める
しばらくすれば
玄関のドアが開いて
寝室のドアも開いた
重たい目を開ければ
大きな袋を下げたオッパ
自分から吹っかけといて
キツく言われて涙が出るとか
私、頭おかしいよね
頭を撫でられてさっきよりも涙が溢れてくる
私の胸を撫でながら
落ち着けって言われてるような感じ
その わかってるよ
みたいな余裕な感じとかも
なんかヤダ
はいはいってほんとに聞いてるの?!
私ばっかり余裕がないみたいじゃん
実際 そうだけどさ、、
私の頭を撫でて
怒ってるだろうけど優しく感じるから不思議
もぞもぞベッドに潜り込んでくる
ぐいっと身体を押すけど
そんなの全く意味がなくて
もうしっかりオッパの胸の中...
私の頭に敷いた方の手で
規則正しく頭を撫でられて
さっきまで目を閉じても眠れなかったのに
一瞬にして夢の中
いつもと同じように
ムクッと身体を起こしてから気がついた
身体そんなに辛くないかも
まだ喉は少し痛いけど
ぐっと手を引かれて
ベッドにまた寝転ぶことになった
目の前にはオッパの顔...
ちょっと穏やかではなさそう
そりゃそうだよね、私のせいだ
ゴツゴツした指が私の指に絡まる
オッパとの喧嘩は
結局こうして私が謝って終わり
そう思うと
いつも私が悪くて喧嘩になってることが分かる
でもこうして一つ一つちゃんと受け止めてくれて
優しい愛で包んでくれる
あー、、また謝らないとだ
.....
...
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!