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2021/02/28

第14話

味方最大の脅威 潔癖症
ッ………

パソコンの通知音が今日も鳴った。
相変わらず心臓に悪いこと甚だしい。
discordにあがったメッセージ。

『今からかけますけど大丈夫ですよね?』

これは俺に対しての確認じゃなく、アイツの
1人言だ。模様を目で負えないほどに暗い天井を仰ぐ。ほら、今日も打つ気のない返信を待たずしてSkypeへの招待がくる。


いちいちため息を漏らすクセに、このアプローチを拒むことは出来ないところが嫌いだ。

『もしもし』

社交的な高い声が、部屋に反響しながら耳に届く。

おん…

家の中で独りきり、声を発する機会などないせいで、元より一層掠れた声が出る。

『調子はどうすか?』

調子…?あぁそうやった。そういう''てい''やったわ。

せやなぁ、あんま良くないな。

『そうですかぁ…』

残念そうにしながらも確実に頭の中で言葉を選ぶのは、アイツの社会人になってからのクセらしい。

『手袋、してるんですか?』

飲み物に伸びた手が止まる。だって、そこかしこにいるんやで。細菌共は。

あぁ、外出てから外すの忘れてたわ。

『んな事あります?w』

鳥かなんかを想像させる笑い声。

『まぁいいや。ゾムさん、近々一緒に飯行きません?』

あらあらとんでもねぇ事ことを仰りやがる。呆れて物も言えへんわ。無視無視。

『…ムリっすよね。オレ、分かってるんで』

…………

『潔癖症、酷い時期なんですよね。今。』

…………

『答えてくださいよ。オレしつこいっすよ』

知っとるよ。

『なら良かった。』

声のうわずりによって、アイツが誰にも見えないクセに愛想笑いしてんのが分かる。

…そう。その通り。こういう時は外に出るんもできない。全部汚く見える。

『空気も人も物も…全部?』

うん。

『ヘッドセットで電話しないのも、そのせいですよね。きっと。』

…なんでヘッドセットじゃないって言える?

『オレの声をそっちのマイクが拾ってるからです。なるほど、かなり冷静じゃないですね。』

…ゴメン。でも違うんや。不快に思ったなら謝る。ゴメン。

『…僕が不快に思いそうな理由があってヘッドセットじゃないんですか?』

あ゙………

機会を通して耳のそばで鳴る声に、その人の吐息が含まれてるように感じてたまらなかった。シッマでも、トントンでも、チーノでも。でもそんな訳はなくて、汚いはずもない。のに、いくらそう考えても聞き入れてくれなくて、アタマが拒否して痛くなる。耐えられない。


違う。違うの。なぁチーノ?

『なんですか?』

オレは………………………………………………………………………………………………………………みんなのこと、汚いって思いたくないだけなの。

『…たぁっぷり間を開けたと思ったら。』

ゴメンなさい。本当に違うの。

『そうだよね。ゾムさんの気持ちと、潔癖症はちぐはぐなんだよね。』

チーノには見えもしないのに、オレはつい首を縦に激しく振っている。なだめられながら優しく問いかけられる。苦しいの。とっても

『それに、ゾムさんは謝らなきゃいけない事してないよ。大丈夫。大丈夫…』

『今は、一番に自分に優しくして。自分の事だけ考えていればいいからさ。』

『治まってきたら一緒に飯行きましょ。大丈夫。普段のゾムさんはみんなと一緒に飯行けるから、今は突っぱねちゃっていいから。』

……ありがとぉな。

『ふふっ、べしゃべしゃに泣いてるみたいですね。いっぱい泣いてください。涙は体内の水分以外にも、いろんなものを流し出してくれるらしいですらね。』

ン…うんゥ……





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あぁ、今隣で話せていたなら、静かに泣きじゃくるゾムさんを抱きしめられたのに。他意はなく、ただ安心させてあげたくて。でも今のゾムさんにとっては、それも攻撃と一緒なんだよな。














あはァ…………歯がゆ。