*ホシ君との出会いは小学校の入学式。
両親がいない私は叔母と一緒に入学式に行く予定だったが、あいにくその日に叔母が熱を出してしまい、一人で行くことになった。
小学校まではそこまで遠くもないし、おんにとよく遊びに来ていたので、迷わずに行くことができた。
だが、余裕を持って来すぎたようで入学式まで時間はまだまだある。
はじめはちょっとだけ、という思いで探検しはじめたが、
しだいに楽しくなってきてしまった。
あと、もう少し、もう少しだけ、と歩き続けていたら、足が疲れてきた。
誰もいないひんやりとした廊下。
自分の足音しか響かない静けさが、
不安を募らせていった。
だんだん視界がぼやけてきた。
とうとう私はしゃがみ込んで泣いてしまった。
怖い。
誰か。
助けて、、。
助けてくれたのがホシ君だった。
小さく頷いた。
そう言って私の手を取って駆け出した
彼の小さくてたくましい背中を今でも覚えている。
無事に教室に帰ることができて、入学式にも間に合った。
トクン_
きっと、その時だ。
私の初恋の”はじまり”は。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。