第10話

最終話 ねぇ、北斗、俺の夢はね……
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2021/03/02 11:16
(hokuto side)

〘 松村北斗様へ 〙

やっほ〜!!北斗。今頃お目覚めですか〜?
俺を一人ぼっちにした罰は大変重いです。

なんて、ふざけるのはここまでにして

北斗がこの手紙を読んでいるということは、もう俺はこの世にいないってことだね。

実は、俺は北斗と出会ったときには、余命宣告を受けていて、延命治療を受けていました。

正直、北斗と出会うまでは、いつ死んでもいい、こんな人生早くリセットしてしまいたい。そう思っていました。

でも、北斗と出会ったとき、今まで出会ったことのない個性的な人で、話せば話すほど、魅力的な人で、俺の憧れになりました。

一瞬、暗くて喋りづらそうだけど、お見舞いに来た友達はみんな明るくてとてもいい人たちだったね。

俺の名字と俺の家がどんなところなのかを知ったとき、俺と北斗の関係はここまでかなって思ったけど、嘘一つつかず、俺の心の中に踏み込んでくれて、ずっと閉じ込められていた場所から解き放ってくれました。

お互い将来の夢について、語り合ったとき、実は俺、なにもなかったんだよね。だから、そのときは答えられなかったと思う。

そんな話をしているとき、北斗が倒れて、俺一人になって、いろんなことを考えた。

そして、ついに、俺の将来の夢が見つかったのです!!

それは、心から一番信頼、いや、大好きな人のために、俺をあげること。

北斗が目覚めたとき、いつもより体が軽くなかった??俺を探すために走っても、そんなに疲れなかったでしょ??

今まで、頑なに俺の体の一部を誰かにあげることを否定してたんだけど、もし誰かのためになって、その人が俺の分まで生きることができるのであれば、俺は本望だと思ったんだ。

北斗の夢を聞いたとき、絶対、その夢を叶えてほしいと思った。そして、なにか事情があって心を閉ざした人に優しく寄り添って、少しずつ鎖をといていってほしい。

君と出会えたことに感謝。天国で北斗のこと見守ってるよ。
ちゃんと悔いなく生きてからこっちに来てね。じゃないと、追い返すからね!!

じゃあ、またね!!!

PS.
ちょっと重たい友達っぽくなっちゃったけど、

俺の心臓、めっちゃ丈夫だから、大切に扱ってね!!不安になったら俺に語りかけて、俺が相談乗るよ!!

             京本 大我 より〙


すべての文を読み終わったとき、涙とともに俺の胸に温かい風が吹いた気がした。

俺のここに大我がいる。

俺の方こそ、大我と出会えて人生変わったよ。

君の分まで生き抜いてみせる。

ありがとう、大我。

また、また逢う日まで。お互い元気でな!!


そう、天に向かってつぶやくと

大「りょーかい!!」

そう、大我が答えてくれたみたいに、空には虹がかかった。


                -END-


 

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