(hokuto side)
〘 松村北斗様へ 〙
やっほ〜!!北斗。今頃お目覚めですか〜?
俺を一人ぼっちにした罰は大変重いです。
なんて、ふざけるのはここまでにして
北斗がこの手紙を読んでいるということは、もう俺はこの世にいないってことだね。
実は、俺は北斗と出会ったときには、余命宣告を受けていて、延命治療を受けていました。
正直、北斗と出会うまでは、いつ死んでもいい、こんな人生早くリセットしてしまいたい。そう思っていました。
でも、北斗と出会ったとき、今まで出会ったことのない個性的な人で、話せば話すほど、魅力的な人で、俺の憧れになりました。
一瞬、暗くて喋りづらそうだけど、お見舞いに来た友達はみんな明るくてとてもいい人たちだったね。
俺の名字と俺の家がどんなところなのかを知ったとき、俺と北斗の関係はここまでかなって思ったけど、嘘一つつかず、俺の心の中に踏み込んでくれて、ずっと閉じ込められていた場所から解き放ってくれました。
お互い将来の夢について、語り合ったとき、実は俺、なにもなかったんだよね。だから、そのときは答えられなかったと思う。
そんな話をしているとき、北斗が倒れて、俺一人になって、いろんなことを考えた。
そして、ついに、俺の将来の夢が見つかったのです!!
それは、心から一番信頼、いや、大好きな人のために、俺をあげること。
北斗が目覚めたとき、いつもより体が軽くなかった??俺を探すために走っても、そんなに疲れなかったでしょ??
今まで、頑なに俺の体の一部を誰かにあげることを否定してたんだけど、もし誰かのためになって、その人が俺の分まで生きることができるのであれば、俺は本望だと思ったんだ。
北斗の夢を聞いたとき、絶対、その夢を叶えてほしいと思った。そして、なにか事情があって心を閉ざした人に優しく寄り添って、少しずつ鎖をといていってほしい。
君と出会えたことに感謝。天国で北斗のこと見守ってるよ。
ちゃんと悔いなく生きてからこっちに来てね。じゃないと、追い返すからね!!
じゃあ、またね!!!
PS.
ちょっと重たい友達っぽくなっちゃったけど、
俺の心臓、めっちゃ丈夫だから、大切に扱ってね!!不安になったら俺に語りかけて、俺が相談乗るよ!!
京本 大我 より〙
すべての文を読み終わったとき、涙とともに俺の胸に温かい風が吹いた気がした。
俺のここに大我がいる。
俺の方こそ、大我と出会えて人生変わったよ。
君の分まで生き抜いてみせる。
ありがとう、大我。
また、また逢う日まで。お互い元気でな!!
そう、天に向かってつぶやくと
大「りょーかい!!」
そう、大我が答えてくれたみたいに、空には虹がかかった。
-END-
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!