第2話

システム・転生 1
53
2021/07/23 01:59
???
うーん、やはりうまくいかないか……
???
そりゃそうっすよ、先生。元々無理のある実験っす
???
別次元ならいけると思ったんだが……
そう言うとその先ほど“先生”と言われた男は白衣のポケットから手を出し、机の上の無造作に広がった書類の山を探り始めた。

やがて数枚の紙を取り出し、それをわざとらしく眺めてから、うーんと唸った。
???
やはりワープホールを開けるのに精一杯だったようだなぁ。上手いことこちらの世界とあちらの世界の接合が出来ていない
???
この様子だと、ワープホールの中の粒子変換機能も上手く作動しなかったようですね
年下の男も頭を悩ます。二人の男の目線は、一つの機械の中の人間(とおぼしき)に向けられていた。
???
その子供?の様子はどうだい、助手くん。子供という年齢でもないのか……?
???
まあ、大丈夫っす。生体システムをフリーズさせてるので……。今のところは問題ないんじゃないかなぁ。ただちょっと、時間の問題かもしれないっす
???
その子が壊れたら元も子もないからな、失敗なんてしたらそれこそどうなるかわからん。向こうの世界とこっちの世界じゃ世界を構築してる物質がまるきり違うんだ、未知の物質と変な化学反応でも起きたら溜まったもんじゃないぞ
先生はまた書類に目を落とした。何かを考えているようだが、その様子はいたずらに時間を潰しているようにしか見えない。どちらかというと、そうするしかないように見える。
???
先生、ワープホール、も一回開けられないんすか。ここにずっといられても困りますし、元の世界に返してあげましょうよ
助手が投げやりに尋ねる。
???
いや、それは無理だな……。もう一回開けられるほどの力はこの機械には残っとらん。もし仮に開けられたとしても、さっきと同じ場所に繋がる確率はほぼゼロだ。繋がっても、あちらの粒子とこちらの粒子が混ざった状態だからな、それこそあちらの世界が崩壊してしまう可能性もある、十二分に
???
そっかぁ……。ならこの世界に順応させるしかないか……
???
今の科学技術でできるかどうか……
二人はまた頭を抱えた。




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