第10話

小瀧side
1,115
2018/04/07 15:51
稽古はすぐに始まった。


でも、舞台が決まったことはまだ中でのことで、どうなるかはまだ分からない。
舞台ができるかどうかも、それは上の人の判断。

やからまだ、舞台のことは両親にも誰にも伝えられないまま。



今回は特に、体力のない僕と、しげと、神ちゃん、耳が聞こえにくい照史君がいるのと、演技経験者が少ないのもあって、稽古の時間はかなりとられていた。


台本もらって何度も読んで、内容は一応理解してるんやけど、自分のセリフがどこで入るのか、どう言えばいいのかはよく分からないまま稽古に臨んだ僕は、

演技というものの厳しさを痛感した。


演技指導
小瀧!そこもっと違う言い方あるだろ~!やり直し!
演技指導
違う!!何回言ったら分かるんだ!もう1回!
怒られてばっかりで、何度も何度も同じシーンを繰り返す。



僕が止めてしまって先へ進めず、次のシーンを待ってる人にも申し訳なくて、


でも焦れば焦るほど、空回りして、失敗して、

結局怒鳴られて。



演技指導
もう駄目だ!もういい!次のシーン行くぞ!
そう言われて次のシーンになってしまって、僕はその場からどかされた。


稽古1日目がこれ。


泣きそうになって、慌ててレッスン室を出た。





レッスン室の外で、台本両手に持って、体育座り。


我慢してた涙が、頬を伝った。





俺って、

弱いな。



こうなることだって、ちゃんと予想はしてたはずやのに。





こんなことでくじけそうになって。


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