第31話

重岡side
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2018/04/16 17:58
正式に決まったのと同時に、演技指導の先生の熱も、さらに加わった。


ちょっとでもできていなければ容赦なく叱られて、出来るまで何度もやり直し。


連日の稽古続きで疲れてた僕は、今日は朝から微熱。

それもあっていろんなシーンでミスを繰り返してしまった。


演技指導
重岡!ちゃんとやれ!お前は主演やろ!?主演がダメだったら他が上手くても全部台無しになるんだよ!!
同じシーンで何度もやり直しした後、先生に怒鳴られた。

演技指導
桐山や濱田の演技の上手さを、お前が潰してるんやぞ!?しんどいんか知らんが、病気やって甘えるな!!!


一生懸命練習してきた分、かなり応えた。



僕は、


病気やって、甘えてたんかな。




いつもならこんなことどうってことないけど、しんどいのもあって、気付いたら頬に涙が伝ってて、慌ててぬぐった。


演技指導
そうやって泣いてごまかすな!これだから病気の奴は嫌なんだよな・・病気なんて甘えや。
もうええ!今日の稽古は重岡なしでいくぞ!
そう言われて思いっきり背中を押されて、レッスン室を出ていくように言われて、


どうしようもなくて外に出ようとした時、



桐山
今の言葉、訂正してください。




そんな声がした。



振り向くと、照史君が立ち上がってて、つながるように濱ちゃんと淳太君も立ち上がった。


桐山
しげは、病気やって甘えてなんかない。俺はしげが病気を言い訳にしてるとこなんて、1度も見たことない。
神山
そうやで!病気病気ってレッテルはってるんそっちやんか!
神ちゃんが勢いよく言うのを、流星が止めていた。


中間
重岡は、演技はまだまだかもしれへん、でもそれを病気だから甘えてるって、言わんといてください。
しげは、ここにいる誰よりも一番頑張ってる。
それは、僕らが一番よく知ってます。
淳太君はそう言うと、「口答えしてすみません」と頭を下げた。



止まらなかった涙は、さっきよりも溢れて、


でも、この涙は辛い涙じゃなかった。




演技指導
・・・とりあえず、今から休憩や、ええか、後半ミスしたら今度こそ出てってもらうぞ
先生は僕がさっきより泣いているのを見て、表情を変えてそう言った。



休憩と言われてざわつく部屋で、


6人が僕の所に駆け寄ってきた。



ぎゅっと抱きしめてくれる淳太君。


小瀧
休憩になって良かった、しげ、熱あるんやろ?
桐山
え!?そうなんか!?
神山
しげ、泣かんでええよ~、大丈夫やから
濱田
せや、大丈夫、大丈夫

涙が止められなくなった僕の頭を撫でたり背中をさすったり、


何度も、

「大丈夫やで」

って言ってくれる。




そういえば、

7WESTのセンターを任された時も、同じだった。



お前は1人やない、

俺らがおる。



そう教えてくれた。







もっと、仲間を信じなきゃ。

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