練習を続けて2時間、最後のシーンが終わった。
途中、二人とも質問してくれたり、逆に俺がアドバイスしたり、何度も止まってはやるの繰り返しやったけど。
流星も望も、僕の演技がほんまにすごいって言ってくれるけど、やっぱり俺なんてまだまだで、照史や淳太君なんてもっと上手くて。
それでも、「濱ちゃんに教えてもらいたい」そう言ってくれた二人のために、
少しでも役に立てたやろか。
望が首を傾げる。
2時間前と比べても、そして1番初めの稽古に比べても、
二人の演技は全然変わってて、
すごい成長やなぁっておとんみたいな気持ちになる。
望が笑顔でそう言ってものすごい勢いで抱き着いてきた。
二人とも演技指導の先生や、僕らのアドバイスを真剣に聞いて、台本に書き込んで、ちゃんと呑み込もうと努力する。
流星や望だけじゃない。
しげや神ちゃん見てても思うねん。
ただ純粋に、
みんなと仲良くなれて良かったって。
お互いを見て、もっと努力しよう、俺ももっと頑張らなって思える仲間は、
ほんまに大切で、
ほんまに特別やから。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。