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いや 、そこじゃない 。
そこじゃないんだよすにょんくん 。
… あと 、髪色のトーンがそこまで
変わってないから正直あんまりわからない 。…
誤魔化し方が下手くそ過ぎるにも程がある 。
もしかして電話かけてくれた時から ?
ってことは 、2 0分前から ?!
自然と彼の手を掴んで引っ張っていた 。
いつも温かいすにょんくんの手のひらが冷たいのは 、ずっと待ってくれていた証拠だ 。
振り返ると 、幸せそうにこちらを見てくるすにょんくん 。
手を繋ぎながら 、鍵を取り出し急いで部屋の扉を開ける 。
呑気にそう言っているすにょんくんの方を見ると 、
彼はのんびり靴を脱いでいる 。
そんな彼に小言を言おうとしたのに 、
ふふっと笑われてしまった 。
… この前 、
と言われると玄関での出来事を思い出す 。
そう言えばあの日もこんな風に手を繋いでたな 、
なんて思いながら離そうとした手のひらを 、
また掴まれてしまった 。
本当に 、
クォン・スニョンという人はずるいと思う 。
そんな表情で見られたら 、誰だって心拍数が上がってしまう 。
う 、うるさいです ……………
耳を塞ぐために彼の手を離すと 、今度は楽しそうにふはは 、と笑っていた 。
… 確か冷凍してあったご飯と 、作り置きしてあるキムチがあったはず 。
キムチチャーハンなんて簡単に作れるのに 、そんなに楽しみにしてくれてたのかな 。
2人とも手を洗う 。私はそのままエプロンをつけた 。
すにょんくんは私の料理している姿を
じっと見てくる 。
物珍しそうに見てくるから 、
少し緊張してしまう 。
それでも何とかいつも通りにご飯を電子レンジで解凍して 、彼と話しながら料理を進めていった 。
フライパンから手を離して彼の方を見ると 、
さっきよりも近い距離に彼がいた 。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。