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そ 、そんな不満そうな顔しなくても ……と言うぐらい気に食わないです 、という表情をしている 。
え 、ええ … ?
私の方がおかしいの ? ってぐらい 、猪突猛進なすにょんくんに戸惑ってしまう 。
色々悩んでいた私が馬鹿みたいに思えてきた 。
恐る恐る 、彼の方を見ると何故かすにょんくんは笑っていて 。
彼は特に返事もせずに 、黙って私の手を取った 。
されるがままに彼の柔らかい頬から手を離して 、
右手を掴まれる 。
ふと 、すにょんくんと出会った日のことを思い出した 。あの時の 、驚いた顔をしていたすにょんくんとこんなことになるなんて思いもしなかったのに 。
彼がそう呟いて 、微笑む 。
目の前にいるすにょんくんの表情は 、見たことの無いぐらい優しくて幸せそうで 。
これからもこの表情を見たいし 、そうさせたい 、なんて考えたら 、自分を押さえつけていた何かが崩れた音が聞こえたような気がした 。
右手を掴んでいた手を解いて 、彼の指に絡める 。
やっと私達 、ちゃんと手を繋げた 。
そう伝えると 、すにょんくんの表情が揺らいだ 。
ちょっとだけ泣きそうな 、でも 、嬉しそうな顔 。
そして 、繋がれた手のひらが震えていたのに 、
ようやく気づいた 。
まだ信じられない様子のすにょんくんの 、
小さな呟きに頷くと 、
彼が満足気ににこりと笑う 。
いや 、急にうるさいじゃん 。
『 キムチチャーハン 』 という言葉を出した途端に目をまん丸にした彼 。フライパンの中のご飯は冷めて固くなってしまってるんだろうな …
温め直して 、無理そうなら作り直そう 。お米はコンビニに買いにでも行けば大丈夫だし 。
すにょんくんが腕をまくって手を洗う 。
その様子を見ながら 、
私はコンロの火を付け直す 。
私達の間に流れるゆっくりとした空気が 、
これから私達に訪れる幸せを
知らせてくれているようだった 。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。