第73話

side S with R - 尾行 -
213
2020/10/16 07:04
side S with R

ある木曜日。

今日は朝から廉がうるさい。
なぁ、紫耀。今日のあなた絶対怪しいって。
は?何のこと?
お前まぢか?気付けへんの?今日のあなたなんかいつもと違うやん。服装も違うし、態度も何かそわそわしてる。
そうかな?でも今日仕事終わりにアメリカ時代の友達に会うって言ってなかったっけ?
それ。それが怪しいねん。前も誰かと英語でメールしてたし。
だからそのアメリカの子と連絡取ってただけだろ?
俺は絶対元カレやと思うねん。英語でメールとか怪しすぎ。しかも今日のあなたメイクもいつもより濃いない?
まぁそう言われればそうかも知れないけど。。んーー、そうかな?
絶対ガチでやばいと思う!俺今日あなたのこと尾行しようかな。心配すぎる。
おまっ、、、それマジで言ってる?あなたのこと信用してないわけ?
そういうわけじゃないけど、やっぱり心配やから。だから、紫耀もついてきてーや。
えー、なんか疑ってるみたいで嫌だなぁ。
なぁ、お願い!!俺らの幸せ同棲生活に緊急事態発生やん!?何にも無かったら何にも無かったでそれはええけど、万が一なんかあったら心配やからさ。。
うーん、わかったよ。今回だけな。
あまり気が乗らなかったけど 、とりあえず廉の付き添いであなたを尾行することにした。


仕事も終わり、あなたが
あなた
それじゃあ、今日は送れなくてごめんね、先に帰っておいて。ご飯も作り置きいっぱいあるからそれ食べといてね〜。
おん、わかった〜
おう、気をつけてな。
ポーカーフェイスを保ちながら、あなたと別れる。


あなたが向かっていたのは仕事場からほど近い高級中華のお店。どうやら相手はまだ来ていないようで、外で待っている。


俺達はそんなあなたを15mくらい離れたビルの影から見守る。
あなたの元カレってどんなんやろーな?ちょっと興味あるわw
もう廉の中では元カレ確定なわけw?決めつけんなってw
5分くらいして1人の男性があなたに駆け寄ってきた。

スーツ姿でスラっとした長身のイケメン。年齢は多分あなたと同じくらいか?
ほらやっぱり〜。あれ、絶対元カレやし。
、、、、だな。
しかもなんかめっちゃ背、高ない?あれ俺らより全然高いで!そして爽やかイケメン!!
なんか廉、テンション高くね?俺正直あなたが他の男と会ってるのとか見たくなかったわ。
いや、俺はそっちよより心配の方が勝ってるわ。嫉妬はしてるけどな。
なんだかんだと2人で話しているうちにその男があなたを抱きしめる。
っ!!!!あいつ何やってんだ!!!
と、前に出そうになる俺を廉が必死に抑える。
ちょ、、、紫耀、あかんて、、!外国では会ったときにハグくらいよくするやん!早とちりしすぎやって!!
まぁ、、、そう言われてみたら、、、そうだけど。。。。それにしてもハグって言うより強く抱きしめてる感がありありなんだよな。


気持ちばかりが焦る。


その後レストランに入っていく2人。俺らは流石にそこには行けないのでちょうどその店の客の出入りが見えるカフェのようなところで時間を潰していた。


約2時間がたった頃、暇を持て余し、半分眠りに落ちそうになっていた俺の体を廉が揺らす。
ちょっと、紫耀!起きて!!あなた、出てきた。
マジか!!
急いで会計を済まして外に出る。


するとそこには信じられない光景が。


何を話しているはわからないが、これだけは一目でわかる。


あの姿勢、ポケットからはリングケース。あなたを見上げるあの視線。




間違いなくプロポーズだ。


俺と廉が唯一あなたにしてあげられないことを、どうして遠くの国から来たこの男がしているのか。


俺は自分で自分が情けなくて仕方がなかった。
あれって、、、、プロポーズ、、、やんな?
そーだろうな。
え!ガチでやばいやん!しかもあなた、指輪もらってるやん?!どーゆーこと!?!?
わかんねー。
俺らフラれんのか!?!?まぢか!?
早くもプチパニックに陥っている廉をよそに俺はやけに冷静だった。


1人で歩き始めるあなた。手にはリングケース。


一体あなたは何を考えているんだろう、、、。


そんなことを考えていると廉が
とりあえず!!!タクシーで先回りしよう!!尾行してたってばれたくないし!!!
お、おう。そうだな。
タクシーで自宅に向かう。

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