side S with R
ある木曜日。
今日は朝から廉がうるさい。
あまり気が乗らなかったけど 、とりあえず廉の付き添いであなたを尾行することにした。
仕事も終わり、あなたが
ポーカーフェイスを保ちながら、あなたと別れる。
あなたが向かっていたのは仕事場からほど近い高級中華のお店。どうやら相手はまだ来ていないようで、外で待っている。
俺達はそんなあなたを15mくらい離れたビルの影から見守る。
5分くらいして1人の男性があなたに駆け寄ってきた。
スーツ姿でスラっとした長身のイケメン。年齢は多分あなたと同じくらいか?
なんだかんだと2人で話しているうちにその男があなたを抱きしめる。
と、前に出そうになる俺を廉が必死に抑える。
まぁ、、、そう言われてみたら、、、そうだけど。。。。それにしてもハグって言うより強く抱きしめてる感がありありなんだよな。
気持ちばかりが焦る。
その後レストランに入っていく2人。俺らは流石にそこには行けないのでちょうどその店の客の出入りが見えるカフェのようなところで時間を潰していた。
約2時間がたった頃、暇を持て余し、半分眠りに落ちそうになっていた俺の体を廉が揺らす。
急いで会計を済まして外に出る。
するとそこには信じられない光景が。
何を話しているはわからないが、これだけは一目でわかる。
あの姿勢、ポケットからはリングケース。あなたを見上げるあの視線。
間違いなくプロポーズだ。
俺と廉が唯一あなたにしてあげられないことを、どうして遠くの国から来たこの男がしているのか。
俺は自分で自分が情けなくて仕方がなかった。
早くもプチパニックに陥っている廉をよそに俺はやけに冷静だった。
1人で歩き始めるあなた。手にはリングケース。
一体あなたは何を考えているんだろう、、、。
そんなことを考えていると廉が
タクシーで自宅に向かう。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。