第74話

side Y - 帰宅 -
198
2020/10/19 09:57
your side

約1時間半くらい経っただろうか。どうやって断ろうか色々考えていたが、いい案が浮かばない。

ようやく家に帰ってきた。玄関のドアを開ける前に一息。
あなた
っふーーーー。
よし、いつも通りでいくぞっ、、と意気込んでから中に入る。


リビングは真っ暗。あれ?珍しいな。2人ともいつもは自分の部屋で過ごすことあんまりないのにな、と思いキッチンに行くと夕飯を食べた食器があった。


あ、やっぱり帰ってるんだ。今日履いてた靴も玄関にあったし。疲れて寝ちゃったかな。


私も自分の部屋に行きまだ少し酔いが残っていたので、スッキリしたくてシャワーに入った。

今日は木曜日だし、少しゆっくりしてもうちょっと考えよう。


気持ちは完全に紫耀と廉にある。それは自分でも分かっている。でも、元カレの方が現実的ではある。


自分を押し殺して(嫌いではないんだし)元カレと結婚した方が自分の両親も安心するんじゃないか。。。年齢的にも子供が欲しいなら急がないといけないし。


自分の想いに従う=家庭を持つことは絶望的、になることは確実で。両親の心配が増すばかりだし。


この期に及んで私の心は揺れに揺れていた。


シャワーから上がって、寝る支度をすまし、ベッドにダイブする。
あなた
ああぁぁーーーーもう、どうしよう😭
デスクの上にあるリングケースに目を向ける。


人生初のエンゲージメントリングには大きなダイヤモンドが光り輝き、まるで元カレとの将来も光り輝いているように見える。


でも、、、私の心は、、、あの2人にある、、、。この年齢になって、自分の心に従っていいものだろうか。。。


あの2人との将来も光り輝いているのかな?


元カレとの将来は簡単に想像できるのに、2人との将来はどんなものになるか、想像すらできない。。。


とりあえず!!!今日は眠ろう。


そう思って部屋の電気を消そうとベッドから立ち上がったその時、、



コンコン


誰かが私の部屋のドアをノックした。
あなた
はーい
俺、紫耀。入っていい?
俺も!入っていい?
2人だ。
あなた
うん、入ってー。
2人が部屋に入ってきたまさにそのとき、


あ、、、、そういえば指輪!


デスクの上に置きっぱなしだ!!!


しまうの忘れてた、、、これはまずい、、、と、不自然に見えないように少しずつデスクに近寄り指輪をパジャマのポケットに入れようとしたその瞬間、

てかあなた、それ何?
、、、、、。
紫耀は無言で私を見る。2人を目の前にして嘘は言えないと思い、
あなた
う、、、うん、これね、、、今日もらった。。
廉が私より前にリングケースを手に取り、中を確認する。
うわ、これガチのやつやん。
あぁー、、、もうごまかせないな、、、と思っていると、紫耀が静かに口を開く。
あなた、今日誰と会ってた?
あなた
アメリカから出張で東京に来てた韓国人の元カレ。どうしても話したいって言われて、断れなくて。
へぇ。で、プロポーズされたってわけ?
あなた
まさか、こんなことになるなんて思ってなかったから、びっくりしてる、、、。指輪、、、すぐ返そうとしたけどちょっとは考えてくれって言われて、彼、すぐタクシーで行っちゃったから、、、返せなくて。。
ふーん。。
2人の疑いの目が痛い。何にもやましいことはないんだけどな、、、、

いや、あるか。


気持ちが揺れてる時点でアウトか。
あなた
ごめんね。私、そんなつもりなかったんだけど。私の心は紫耀と廉にしかないから。彼が帰る前にちゃんと指輪返しに行くね。
うん、、、でも俺、あなたに返しにすら行ってほしくない。だってそれってそいつにもう一回会うってことだろ?
あなた
紫耀の言ってることは分かるよ。でも、ほら、やっぱりちゃんと断らないと、申し訳ないからさ。分かって?
俺ら、ついていっていい?単純にあなたがさらわれないか、心配やからさ。
あなた
いや、それはちょっと、、、いい大人なんだから拐われるとか、ないでしょw
でも今日だって普通に会うはずが何故かプロポーズされて帰ってきたよね?
あなた
いや、そう、、、、だけど、、、付き合ってる人がいるってちゃんと言ったよ?私。2人とは言っていないけど、さすがに。
2人の機嫌は直らない。
あなた
ねぇ、お願い、分かって?不安にさせてごめん。ちゃんと断ってくるから。私のこと信じて?
一生懸命伝える。

2人の手を握り目を見てお願いする。
うーん、あなたがそこまで言うなら、あなたのこと信じるわ。まだ心配は残るけど。会いに行く日は一応教えてな。
うーん、、、、わかった。。何があっても嘘はつかないで。あなたのこと、信じるから。
あなた
うん。分かった。断りに行く日は決まったらちゃんと教える。心配かけて本当にごめん。
おん、じゃぁもう遅いし寝るわ
また明日。
そう言って2人は部屋から出ていった。

プリ小説オーディオドラマ