side R
ある日の夜、キンプリ特番の打ち上げでご飯を食べに行った。番組スタッフやメンバーは飲めや食えやの大騒ぎ。もちろんみなやんもいて、少し酔っ払っているようだった。
かなりの盛り上がりで、もう一軒行こうという話になり、カラオケに行く。
そこでもメンバーはかなりの量のお酒を飲んでいた。かく言う俺も結構お酒を飲んでいたが、意識がなくなるほどではなかった。
紫耀の方はと言うと、
いやぁ、あれはもうやばいなぁ、、、と言うくらいベロベロ。
はぁ(深いため息)あんなんじゃまたみなやんに迷惑かけるわ。あいつほんまに何考えてんのやろ。
俺のイラつきをよそに、ひとしきりカラオケは大盛り上がりしてた。少し落ち着いてからはみんながみなやんに絡んでる。
数十秒上を見つめて考えていたみなやんは
と言って、曲を入れていた。
みなやんが歌った曲はAlicia KeysのIf I Ain't Got Youやった。
みなやんの少し低い声がAlicia Keysの声にぴったりで思わず聴き入ってしまう。
でも待てよ、この歌詞の内容、、、、ひょっとしたら失恋系の曲か?
ネットで歌詞を検索してみる。
やっぱり、、、、
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Some people want it all
全てを欲しがる人もいるけど
But I don't want nothing at all
私は何もいらないわ
If it ain't you baby
もしあなたじゃないのなら
If I ain't got you baby
あなたを手に入れられないのなら
中略
If I ain't got you with me baby
あなたが私のそばにいないなら
So nothing in this whole wide world don't
mean a thing
この広い広い世界の全てに意味がなくなるの
If I ain't got you with me baby
あなたが私のそばにいないのなら
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恥ずかしがりながらも感情を込めて歌っているみなやんを見ていると、レイプの事件を思い出した。そのせいで彼氏の元を去ったって言ってたな、、、。
て言うかこれって、、、前の彼氏のこと、まだめっちゃ好きやん。
俺の勝手な考察やけど、そう思うと胸の奥の方がぎゅーーーって締め付けられるような気がして、俺はみなやんの歌を最後まで聴くことができず個室を出た。
なんでこんなに苦しいんやろう。俺はトイレで漠然と考えていた。
あの話を聞いてから、俺はみなやんが気になってしょうがなかった。
少しでも楽になってほしい。
これ以上傷ついてほしくない。
守ってあげたい。
これって好きってことなんやろうか?今まで年下か同い年にしか恋をしたことがない俺にはこの複雑な感情が恋というものなのかどうかすら分からんかった。たとえこれが好きっていう感情でも、
めっちゃ年上やし。
マネージャーで仕事相手やし。
現実味ないし。
別に俺に弱さ見せてくれてるわけちゃうし。
俺って需要あんのか?
と頭を抱えた。
心を落ち着かせ、少ししてから個室に戻る。
みなやんの歌はもうすっかり終わっていて、スタッフがバリバリのロックを歌ってるw
そっとみなやんの方に目を向けると、紫耀がみなやんの横をぴったりマークしていた。
紫耀は上機嫌で何やらみなやんに耳打ちをしている。みなやんは少し困った顔をしながらも笑顔を見せていた。
しかも紫耀は、今にもみなやんの背中を抱くかのように肩を回して何やら背中をさすっているようだ。
それを見て俺はやっぱりイライラしてしまう。
それにしてもあのうっとりした紫耀の顔。
絶対好きやん。バレバレやって。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。