side S
俺と廉がたくさんある衣類を部屋に持ち込む。
部屋内を俺、廉、あなたセクションに分けて綺麗に陳列していく。
そんな話をしていると、朝ごはんの片付けが終わったあなたも荷物を持って入ってきた。
ん?あれ?
下手したら俺らより持ってるくらいかも。それからも箱をどんどん持ってくる。
俺は自分の服を陳列することも忘れ、あなたの荷解きに注目してしまった。
箱の中から少しずつ服を出してはラックに掛けていく。殆どの服にはカバーが掛かっている。
気になりすぎた俺と廉はあなたに承諾を得て服をチェックし始めた。
あなたのハイブランドコレクションは靴にまでいたり、約50足はある。
当然玄関の靴箱には入りきらないのでお互いよく履く10足を選んで玄関に置くことにした。
あなたの服好きには驚いたが、最も印象的だったのが前の航空会社の制服があったこと。
まじまじとチェックする。
と、言っていると、自然と廉と目が合う。
多分俺と全く同じ妄想を繰り広げているであろう廉は意地悪な表情でニヤニヤしている。
俺はあなたに聞こえないように
内緒話に気づいたあなたは
と聞かれたが、俺達は知らんふりを決め込んだ。
何も知らないあなたは自分の服の収納を早々と終わらせて今度は俺たちの服をチェックしては勝手にコーディネートして遊んで、あーだこーだ言ってる。
こんな感じで会話を楽しみながら整理整頓していたら時間があっという間に過ぎてしまい、クローゼットを完成するだけで1日かかってしまった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!