第18話

side S
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2020/08/16 00:55
side S

あれから1週間が経った。

俺も彼女も知らないふりを決め込んでいるが不思議と気まずいという感じではなく、前よりもより親密になったような気がする。


あの夜の事について言葉を交わしたわけではないが、俺に対する彼女の雰囲気や態度が少し柔らかになり、それがとても心地よい。


ただ、この1週間俺はずっと悶々としていた。


あの夜の彼女の妖艶な身体、表情、匂い、全てが亡霊のように俺に付きまとっている。

俺の頭はショート寸前だった。家では大酒を飲まないと眠りにつくことさえできなかった。


『もう一度あなたとしたい』

という欲望が渦巻いて、俺の心はまるで底がない泥沼にはまっていくようだった。

そんな中、中学校の同級生(男)から連絡があった。

東京に観光に来ているらしく、時間が合ったので一緒に飲むことにした。
友達
紫耀久しぶり!!
おぉ〜久しぶり!かわんねーな!
子供の頃の話や現在の俺の仕事の話、友達の近況など色々話し、そろそろお開きかなぁと思っていたら
友達
てかお前って彼女とかいないの?お前だったらモテるから苦労しないだろ〜
いねぇわw今はさすがに忙しすぎるわ。彼女は作らないスタンス。
友達
ってことは遊びまくりってやつか
まぁ、大きい声ではいえないけどなw
友達
お前気をつけろよ〜、刺されるぞ
ははっ大丈夫だよ、恨まれるようなことしてないもん
友達
本当かぁ
あ、でも最近ちょっとやばかったかも。女に媚薬飲ませて、襲っちゃった
友達
お前それやばいって。薬も危ない薬だったらどうすんだよ
だよなwもう使わないようにしないと。やべーわ。
友達
その女の反応はどうだったんだよ?恨まれてねぇか?
うーん、多分恨まれてはないと思う。すっげぇいいセックスだったから。今までで一番良かったって思うぐらいすごかったw
友達
なんだよwそれお前その女のこと普通に好きじゃね?恋してないのにセックスそんなに気持ちいいことある?
いや、好きという感じでもないと思うんだけど。なんかよくわかんねーわ。とにかくセックスは本当に良かった
友達
まぁなんでもいいけど、恨みだけは買うなよ、危ねーぞ
うん、わかってる
9:00pm

いい感じに酔っぱらった俺は友達と別れ、あなたに電話した。

あ、もしもし、みなやん?今終わったから迎えに来て〜
あなた
はい、じゃあ10分くらいで着きますのでちょっと中で待っててくださいね〜

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