第31話

side Y -帰宅-
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2020/08/19 04:59
your side

10:00PM


カラオケもお開きになりそれぞれが帰路に就く。まずは平野さん。フラフラの平野さんを支えながらタクシーに乗せる。
あなた
平野さんお疲れ様でした!ゆっくり休んでくださいね〜
みなやんも一緒に乗っていきなよ〜
いつものふにゃっとした笑顔で言ってくる。周りの人の目もあるので
あなた
方向逆ですよw私も適当にタクシー拾うんで心配しないでください!!運転手さん、行ってください〜
と適当にあしらう。


そして次は永瀬さん。彼も今日は少し酔っているみたいで、結局私が支えていたのだけど、

背が高い永瀬さんは容赦なく私に覆い被さってくる。バックハグ状態でずるずるとタクシーの方まで移動する。これでは支えてるのかハグされてるのか分からないw

移動している間、永瀬さんが耳元でため息をつく。
はぁ、みなやん、俺だけのもんになったらいいのになぁ
と私にだけ聞こえる声で言い、バックハグが一層キツくなった。


一瞬ドキッとしたが、今の私には返す言葉が見つからず、バツが悪い笑顔を作ることしかできなかった。

やっとの思いで彼をタクシーに乗せると
みなやんのも乗っていきーや!うちと方向一緒やろ〜、ねぇ〜俺1人で帰るの嫌や〜
と騒ぎ出す。これはまずいと思った私は
あなた
永瀬さん、それはダメですよ〜、私ちょっと寄っていくとこあるんで無理なんです。すみません〜。また明日迎えに行くんでそれまでゆっくり休んでくださいよ!
と厳しく言って聞かせる。ぷーーっと口を尖らせた永瀬さんを乗せたタクシーを見送る。
あなた
はぁ。今日の仕事終了!
と独り言を言っているとまだそこに残っていたメンバーが
優太
水瀬さんwめっちゃ2人に慕われてるねwどうやって手懐けたの?
スタッフ
マジで、あれじゃあ水瀬争奪戦じゃんねw
あなた
本当ですよねw私真面目に仕事してるだけなんですけどね。
と愛想笑いをして、私も家路へと急いだ。


今日はこんな感じでみんなと別れたし、平野さんがさっき言ってたこともきっと忘れてるよねと思い、自宅へと帰ることにした。


帰宅後すぐにシャワーを浴びて、寝る支度をしていると

♩〜♬〜♫〜

と携帯が鳴る。


?????

あ、メッセージ来てる。平野さんだ!よく見たら、平野さんからの着信履歴が5件も入っていて、その後連続メッセージが。
おい
電話出ろ
無視すんな
あなた?
大丈夫か?
これはまずい!と、思いすぐ電話を折り返す。
もしもし?
不機嫌そうな声
あなた
平野さんすいません!今家です!気付きませんでした!!
なんだー、何かあったのかと思って心配したじゃん。
あなた
すいませんすいません!
平謝りの私。
今すぐこっちに来て。でないと許さへんで!
あなた
え、でももうパジャマ着ちゃって寝る用意もして、、、、
そのまま上に何か着てきたらいいやん!さっき約束したやん!
あなた
平野さん忘れてると思ってました。。
覚えてるもん!
あなた
分かりました!じゃあ三十分後くらいにそっち着きますから。許してください🙏
うん、待ってる
着の身着のまま、上にトレンチコートを羽織って、すぐタクシーに乗り込む。


約25分後、

平野さんの家に着いたはいいがインターフォンを鳴らしても携帯に連絡しても返事がない。


途方に暮れていた私だったが、そう言えば、緊急用にと平野家の合鍵を持っていたことを思い出す。

キーチェーン持っててよかったぁと胸を撫で下ろす。

静かに彼のマンションの鍵を開けて中に入る。


予想通り、平野さんはベッドで爆睡していた。


美しすぎる彼の寝顔。




あなた
可愛い顔して。私は何のために来たんだかw
と呟き、私も彼のベッドにそっと忍び込んで眠った。

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