side R
Pが連れて行かれた後、
みなやんの震えはまだ収まらず、ただただ立ち尽くし、俺のジャケットを強く握り締めていた。
と、震えた声で言う。
こんなことがあっても涙を見せないでおこうと努めているみなやんの姿を見ていると、いてもたってもいられなくなり、
俺はみなやんのことを強く抱きしめた。
みなやんは下を向いたままだ。
どうにか彼女を安心させたいと思い、抱きしめながら背中をさする。
彼女もそれに応えるように、背中に手を回し俺にしがみついた。
それを聞いたみなやんは
と静かに言う。
普段はあまり使わないようにしている彼女のバリバリの関西弁を聞いて、少しは俺に心を開いてくれてるんかなと勘違いしそうになる。
俺を見上げたみなやんは、
と再び謝った。
みなやんは静かに
と言った。局の人に事情を説明して、撮影は中止にしてもらい、車でみなやんの家に帰る。今日は俺が運転してみなやんは後部座席に乗せた。
家の駐車場に到着すると、みなやんが恥ずかしそうに俺にお願いをする。
2人でみなやんの部屋に向かう。こんな時にとても不謹慎やけど、俺はみなやんの部屋に入れると思って少しドキドキしていた。
不安そうに彼女が言う。
と軽く冗談を言うと、彼女も
と、少し笑いながら軽いツッコミを入れた。
彼女がお風呂に入っている間、
色々想いにふけっていると、後悔の念がどんどん押し寄せてきた。
よく考えたら、俺がもうちょっと丁重にPをあしらっていたら、Pの恨みも買わんかったし、みなやんも襲われることなんかなかったんちゃう?
どうしてもうちょっと紳士的に断れなかったんやろう。今回のは完全に俺のせいや。。。。俺は愕然とする。
今ではみなやんの元カレの気持ちが痛いほど分かる。自分の言動のせいで大切な人が傷ついたなんて、後悔しても後悔しきれへんよな。。例えそれが未遂だったとしても、みなやんが心に負った傷は計り知れへんし。
でも、この思いは、みなやんには絶対言わんとこう。もし俺が後悔してるとか言うたら彼女はきっと前の時と同じように自分を責めて、俺の前からいなくなる。直感でそう思った。
俺はみなやんの側から離れたり絶対せぇへん。後悔しているからこそ責任持って彼女の心の傷を和らげる手伝いをするんや。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。