第39話

side R - 後悔 -
330
2020/08/20 03:21
side R


Pが連れて行かれた後、


みなやんの震えはまだ収まらず、ただただ立ち尽くし、俺のジャケットを強く握り締めていた。
あなた
な、永瀬さん、、、、ありがとう、、、ごめんね、、、、、
と、震えた声で言う。

こんなことがあっても涙を見せないでおこうと努めているみなやんの姿を見ていると、いてもたってもいられなくなり、


俺はみなやんのことを強く抱きしめた。
ねぇ、なんでみなやんが謝るん?みなやんはなんも悪ないやん。こんな時まで気ぃ遣わんといてや。
みなやんは下を向いたままだ。

どうにか彼女を安心させたいと思い、抱きしめながら背中をさする。

彼女もそれに応えるように、背中に手を回し俺にしがみついた。
今から俺、病気になる。熱があることしよ。残りの撮影は中止にしてもらうわ。
それを聞いたみなやんは
あなた
あかん、、、、仕事はやらんと、、私、一人で帰れる、、、
と静かに言う。

普段はあまり使わないようにしている彼女のバリバリの関西弁を聞いて、少しは俺に心を開いてくれてるんかなと勘違いしそうになる。
そんな状態で一人で帰らせるはずないやん。みなやんが何て言っても今日は俺が責任持ってみなやんを送り届けるから。
俺を見上げたみなやんは、
あなた
ほんまに、、、、ごめん
と再び謝った。
まぢで、気ぃ遣わんといてって。俺言うたよな、いつでも頼ってって。今がその時や。
みなやんは静かに
あなた
ありがとう、、、
と言った。局の人に事情を説明して、撮影は中止にしてもらい、車でみなやんの家に帰る。今日は俺が運転してみなやんは後部座席に乗せた。

家の駐車場に到着すると、みなやんが恥ずかしそうに俺にお願いをする。
あなた
一つ、お願いあるんやけど、、、、私、アイツに触られたところ、今すぐ洗い流したい。シャワー入る間、おってもらっていい?シャワー入ってる間、誰か家に侵入してくる気がして、怖いねん。
そんなんいいに決まってるやん!シャワーの後傷の手当ても手伝うから!
あなた
ほんま、ありがとう。
2人でみなやんの部屋に向かう。こんな時にとても不謹慎やけど、俺はみなやんの部屋に入れると思って少しドキドキしていた。
あなた
じゃぁ、ちょっと、入ってくる。絶対おってな?
不安そうに彼女が言う。
大丈夫!絶対どこにも行けへんから!それとも俺も一緒に入ってほしいん?
と軽く冗談を言うと、彼女も
あなた
熟女好きの廉くんなん?
と、少し笑いながら軽いツッコミを入れた。
彼女がお風呂に入っている間、

色々想いにふけっていると、後悔の念がどんどん押し寄せてきた。


よく考えたら、俺がもうちょっと丁重にPをあしらっていたら、Pの恨みも買わんかったし、みなやんも襲われることなんかなかったんちゃう?


どうしてもうちょっと紳士的に断れなかったんやろう。今回のは完全に俺のせいや。。。。俺は愕然とする。



今ではみなやんの元カレの気持ちが痛いほど分かる。自分の言動のせいで大切な人が傷ついたなんて、後悔しても後悔しきれへんよな。。例えそれが未遂だったとしても、みなやんが心に負った傷は計り知れへんし。


でも、この思いは、みなやんには絶対言わんとこう。もし俺が後悔してるとか言うたら彼女はきっと前の時と同じように自分を責めて、俺の前からいなくなる。直感でそう思った。


俺はみなやんの側から離れたり絶対せぇへん。後悔しているからこそ責任持って彼女の心の傷を和らげる手伝いをするんや。

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