第27話

side Y -永瀬さんの変化-
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2020/08/18 06:44
your side

何故だろう。最近の永瀬さんは少し変わった気がする。

今までは何をするにも私に頼りっきりでまるで自分の息子のようにお世話をしてきたのだけれど。

最近、少しずつではあるが自分で出来ることは自分でする努力をしている。

毎日のようにあったご飯のリクエストもめっきりなくなり、1年以上お世話してきた私としては喜ばしい事だけれども何だか少し寂しい。

あなた
大人の階段を登るってこういう事かぁ。
と楽屋で独り言を言っていると
何言うてんの?大人の階段!?みなやん充分大人やんww関西人て独り言多いよなw
あなた
まぁ大人にも色々あるんですよ
と軽くごまかす。

2人で帰る支度をしていると、


コンコン


誰かが楽屋をノックしたので、ドアを開けてみると、


番組プロデューサーの姿が。


この人、この業界では知らない人はいない有名人。

セクハラ、枕営業などで訴えられた事があるとかないとかそんな噂もちらほら聞くエロプロデューサー。

ただ、テレビ界では大権力を持っていて、誰も彼に反抗できず、彼の独壇場状態。


そう。芸能界で生き残るためには彼に逆らうことはご法度なのだ。


私にも執拗に距離を縮めてきたり、腰のあたりを理由もないのに触ってきたり、セクハラまがいなことをしてくる厄介者で、私はこの人が大嫌いだった。
P
あなたちゃーん、今日ちょっと今後の番組のことで相談あるんだけど飲みに行こうよ〜
マジでキモい。あなたちゃんって私のこといくつだと思ってるねん、このエロP!とツッコミを入れたくなるが、ここは抑えて、、、
あなた
いやぁ、、行きたいのは山々なんですけど今日はちょっと残業で、、、すみません、、、
P
そんなこと言わないでよぉ〜。残業は明日でも出来るじゃん。本当に緊急で話し合いたい事があるんだよなぁ。困ったなぁ。そちらの新人タレントさんもたくさん起用することができそうなおいしい企画なんだけどなぁ
なんて、多分嘘であろう怪しい企画を餌にネチネチと攻めてくる。
あなた
いやぁ、、、お話は嬉しいんですが今日は、、、、
はっきりと断ろうとしたその時、あろう事かこのプロデューサーが私ににじり寄ってきた。

私の腰あたりをめがけて手が近づいてくる、、、

うげぇ、こいつまた触ってくるんか、、キモい!と、思った瞬間、


バン!

と、結構な勢いで永瀬さんがテーブルを叩いた。永瀬さんはすぐさまこちらに来て私に向かって伸びているプロデューサーの手を掴み
すいません?正直に聞きますけど今うちの水瀬を触ろうとしてました?
単刀直入な質問をする。
P
廉くーん、何言ってんの。そこに糸屑が付いてたから取ろうとしただけだよ〜
と、しょうもない言い逃れ。
僕には糸屑なんか見えませんよ
永瀬さんの目は、私が今まで見てきたいつもの優しい目ではなく、今まさに獲物を狩ろうとしてる獣のように鋭かった。


こんな目もするんだ、と心が弾んだ。
P
あれ〜?もう落ちちゃったのかなぁ?さっきはあったんだよな〜
あと、さっきのお誘いですが、今日は本当に大事な会議がメンバーとあるので無理なんです。すいませんけど、またの機会でお願いします
おぉぉぉ。永瀬さんビシッと言ってくれた!ちなみに大事な会議は嘘だけどね。
P
あ、そーなの?まぁいっか。じゃぁお疲れした〜
とそそくさと逃げていった。

プロデューサーが出て行った後、安心したのか少しぐらついた私。

永瀬さんはそれを見逃さず、私の肩に手を置いて支えてくれた。
みなやん!聞いて。ああいうのって結構あるん?
あなた
んー、そうだね。まぁないとは言えないかな、、、
困った事があったら俺にも頼ってほしい。俺みなやんが心配やから。今まで世話になってきた分恩返ししたいし、何よりみなやんに傷ついてほしくない。
その言葉を聞いて涙が出るほど嬉しかった。こういう状況はよくあったが今まで誰にも助けてもらった事なんてなかったから。

永瀬さんって意外と頼もしい子なんだなぁと感心して
あなた
ん、ありがとう。永瀬さんがいてくれて助かりました
と言うと、永瀬さんは満面の笑みで
褒めて褒めて〜
とまるで子犬のようにすり寄ってきた。

私は永瀬さんの頭に手を乗せポンポンする。
あなた
よくできました!なでなで。
そう言うと、永瀬さんは自慢げに笑った。

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