第23話

side Y -混乱の3ヶ月-
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2020/08/18 05:25
side Y


この3ヶ月間、週に一回くらいのペースで平野さんに身体を求められている。求められるのは平野さんが酔っ払っている時のみ。

自分から誘ったことは一度もないが、誘われて断ることもできず、だらだらと関係は続いていた。

そもそもこれは『関係』と言えるようなものなのか?

平野さんは相変わらず何も覚えていないので、仕事中(お酒が入っていない時)は今まで通り私に接してくる。

ただ、酔っ払っている時はこの『関係』のことを全て覚えているようで私に対する接し方がいつもと全然違う。まるで恋人同士かのように私の身体に触れ、話し方ですら変わってしまう。


平野さん、実は二重人格なんじゃないかと思ってしまうくらいだ。


正直私は混乱していた。平野さんとのセックスは半ば無理やりなところはあるものの、すごく気持ちいい。

初めて身体を重ねた時に感じたあの快感が毎回あるし、比べたくはないけど、今までのどのセックスよりも良い。


でも、彼のことが好きかと聞かれると、答えに困ってしまう。

年の差のせいもあるが、普段の彼と仕事をする上で、恋愛感情などは抱いたことがない。

私の中では必ずしも『セックスが良い=好き』ではないようだ。


平野さんは私とするといつもよく眠れると言う。


1人の女としてはこんな中途半端な関係は私にも彼にも良くないと思うのだが、

マネージャーとしては、もし彼がこの関係のおかげでよく眠れて仕事に集中できるのなら、このままビジネス・セックスパートナーを続けるのも悪くないかなと考えていた。

なぜならアイドルとして彼女はいない方がファンは喜ぶし、彼女なしで外で遊びまくるのも危険だ。スキャンダルの心配をしなくていいのは私にとってかなり都合が良いのだ。


マネージャー/年上として最低限自分から誘うということだけはしないでおこうと硬く胸に誓った。彼が必要な時だけ、彼に身を委ねよう。。


アラサーも後半の私は、若い頃に大恋愛と言われるものもすでに経験していたし、沢山の経験の中で男性に対する不信感が年々募っていた。


なので、最近では結婚にも興味がないし、彼氏もいらないスタンスを貫いている。



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