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第2話

君と出逢った日。
28
2019/03/21 12:54
歩夢
疲れた…
朝、起きてご飯を食べて。


学校に行って、授業を受けて。


家に帰ったら風呂に入ってご飯を食べて寝る。




世界はそんなことの繰り返し。
歩夢
…つまらないな
そう、つまらない。





この世界はつまらないのだ。
??
こんにちは~
歩夢
…?
??
…??  あの~…??
どこからか声が聞こえてきた。
ふと顔を見上げてみると、女性がいた。

同い年くらいだろうか。




一体、誰に話しかけているのか。


辺りを見回してみたがそれらしい人物は見当たらない。
??
…あの!聞こえてますか?!
女性はこちらに顔を向けて話している。




後ろを振り向いても誰もいない。


…ということは。
歩夢
……僕?!
??
おー!そうそう!
反応がないからてっきり聞こえてないのかと。
歩夢
へっ、あっ、ごめんなさい…?
なんと、彼女は僕に話しかけていたのだと言う。
歩夢
あー…えっと、僕に何か用ですか…?
??
いやー、特にはないんだけど。
こんなところに人が居るとは思わなくて!
それもそうだ。

確かに此処は人通りが少なくて、茂みに覆われていて、僕自身、隠れ家のように扱っていた場所だから。

??
君は此処で何していたの?
歩夢
いえ…別に。
ただちょっと休んでただけです。
??
へぇ、そうなんだ?
あー、えっと。名前は??
歩夢
えっ?
??
名前、何て言うの?
歩夢
えっ…と、菅ヶ原 歩夢です。
??
歩夢かぁ~、んー、じゃあアユだね!
歩夢
アユ…?
??
そ!あだ名!いいでしょ!
歩夢
はぁ…
なんなんだ、この人は。

さっきからすごいぐいぐいと絡んでくる。
??
あ!わたしの名前!言ってなかったね。
緋鞠
わたしは緋鞠(ひまり)!
歩夢
緋鞠…
緋鞠
そー!あと、多分同い年だよね?
タメでいいよ!
歩夢
えっ、あ…わかった…。
緋鞠
あ!私そろそろ行かなきゃ…!
緋鞠
またきてもいいかな?
歩夢
あぁ…どうぞ。
緋鞠
ありがとう!じゃあまたね!アユ!
歩夢
また…
彼女はそう言って微笑むと、颯爽と去っていってしまった。
歩夢
嵐のような人だな…。
でも、少し。

ほんの少しだけ。



楽しいと思った。

面白いと思った。
何故だか、彼女のことが頭から離れなかった。

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