洗面所から出ると
口を引き結び「ぐぬぬ…」ともらしている、
るぅとくんところんくんを見ながら
さとみくんは鼻で笑っていた
私が見ていたことに気づいたのか
はっとした表情になってひらひらと軽く手を振った
さとみくんは何食わぬ顔でニコニコしていたけど
トンっと私の首筋を人差し指で触ると
「まだ消えてないよね」と確認するように呟くと
セットされてある朝ごはんを食べに椅子に向かった
ぶつぶつとあの2人は言いながら
さとみくんと同じように椅子に向かっていって
私も隣に座って手を合わせて食べ始めた
ロールパンを口に入れていたが
さとみくんのその一言をあっさりと言っていて
嬉しいけど驚いてむせてしまった
ぷくっと頬を膨らませては
いいじゃないですか!とるぅとくんは反論していた
そんな中、宅配便が来たらしくピンポンと鳴った
玄関に向かう前に何故か私の元に来ると
持っていた、食べかけのロールパンを
パクッと一口食べて行った
やり遂げた達成感なのかグッと拳を握っていた
さとみくんの視線が痛いほどに突き刺さる
「そういうとこ」と怒った口調で注意された
煽るような口調でこの家を出る前に
るぅとくんは微笑んでぴょんぴょんと跳ねていた
対照的に険しくなっている、さとみくんの表情
私も手を振ってドアを閉めると
普段の現実に戻ったような気がした
軽く体当たりすると「いやだw」と返されて
自分だけ余裕ないみたいで謎に悔しい
朝の帰り道を歩いていると、
後ろから大きな声で誰かに話しかけられた
"あの時の約束を果たしに来たよ!"
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。