私達の朝は、セバスチャンの入れる紅茶に、美味しいお菓子から始まる。
私とお兄様は同じ部屋だから、ずっと一緒なもの。
お兄様は当主としてのお仕事が沢山あるから、私はいつも庭師のフィニアンや
メイドのメイリンと一緒にカードゲームをしたりする。
でも、お兄様とセバスチャンが難しいお話をしているときは少し退屈。
私はお菓子を食べて、フィニアン達とお話する事くらいしか役目が無い。
お外に行くと、“こんこん”しちゃうからって、お母様は言ってた。
ガチャン
ドアの音と共に、私のため息が部屋に響く。
いつか遠いどこかにお出掛けしたい。
この病気が治れば、お兄様達とお外でいっぱい遊べるのに。
__魔法が使えたら…いいのに。
モワァ〜(鏡の音.←)
“困っているなら‘こっち’へおいで。”
“早く来いよ。俺を待たせるな。”
“悩みを叶えて差し上げましょう。”
“美味い飯を沢山食おうぜ!”
“アタシと美しさを極めましょう。”
“ゲーム…しよ?”
“この僕が、お前を助けてやろう。”
鏡に手を差し伸べると、私の体は自然に吸い込まれていった。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。