🐰side
俺の教育係になった先輩に案内されながら、一階二階三階と順に上がっていく。
途中、先輩のほうが少し疲れたのか、
休憩を勧められ、社内の休憩室というところで、まあ定番である面倒くさい社員と、
性格に癖のある上司のことを教えられ、自分は社会適合者なので、問題ないと思いつつ、
優雅に聞き流していると、
先輩「あっ、そうだ!」
と、先輩が大きな声を出して席から立ち上がった。
🐰「どうしたんですか?」
先輩「お前の所まで、出回ってるかもしんないけど、知ってる?」
『会社一の淫乱ビッチ、キムテヒョン』
🐰「まあ、名前だけは・・・」
困った、この手の話題は苦手なのだ。
元々、恋愛が好きではない俺はたとえそれが男の話だったとしても快く聞くつもりにはなれなかった。
そんな俺の空気を察知したのか、先輩がフレンドリーに肩を組んで来る。
はぁ、ホントに興味無いのに・・・
ていうか、そんな話をするんだったら残った階も回りましょうよ・・・
と、心の中で悪態つくけど、入社と同時に流れてきたそのビッチ先輩のことも気になってはいたのだ。
先輩「その顔、やっぱり少し気になってんだろ?」
だろ、だろって、先輩がしつこく聞いてきて流石の僕も折れた。
🐰「・・・はい、気になってますよ、教えて下さい・・・」
先輩「いいだろう、!何でもな男女関係なく抱き潰すらしいぜ。
飲み会でお持ち帰りされた社員がその日休むことなんて日常茶飯事。
その激しさと、誰にでも股を開く様子からついたあだ名は淫乱ビッチ。」
どうだ?すごいだろ?
なんて、先輩が得意げに言うもんだから何を言ってるんだこの先輩はって、思わず顔をしかめた。
🐰「でも、そんな噂っていうか、その情報が広がってて仕事に差し支えたりしないんですか?
上司の人とかからも、よく思われ無さそうなんですけど・・・」
先輩「いや、それはそのビッチちゃんの奇跡の美貌と業務成績によってカバーされてるんだよ。」
ビッチちゃんって・・・
ていうか、業務成績?
寧ろ、悪くなる一方な気がするんですけど・・・
先輩「ほら、誰にでも股を開くって言ったじゃん?」
🐰「はい、・・・そうですね・・・」
ホントに、真面目な顔でなんてこと言うんだこの人。
先輩「だから、営業先の重役とかともやるわけよ。」
先輩「それで、相手さんがいたくビッチちゃんを起きに召して、契約一本取っちゃうわけ。
しかも、あまりにも数が多かったり今まで取れてなかった会社とも取っちゃうから、
会社からしたら良いことずくめなんだよね、プライバシーの保護ってことでそこらへんの
情報は守られてるし、本人も気にしてないらしいし・・・」
🐰「そうなんすか・・・」
先輩「あと、この会社の重役とかもお世話になってるらしいぜ。
弱み握られて、断るに断れない、しかも超絶気持ちいいから許しちゃうってわ、け。」
そこからは、もうなんて言えば良いのか分かんなくなった・・・・
まあでも、会ってみたいなとは思った、その・・・淫乱ビッチちゃん?
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。