🐰「え、テヒョン先輩、いまのって・・・」
そこまで言って、聞いたことのない誰かの野太い声に遮られる。
『やあやあテヒョンくん!』
思わず後ろを振り向くと、気持ち悪い小太りのオヤジがこっちを見ていた。
何だコイツ・・・偉そうだな、今俺が話してたのに・・・
なんて私情は後にして、テヒョン先輩の横につく。
🐯「ソジンさん、お久しぶりです」ニコッ
嫌な相手にも顔色人仕えず咄嗟の判断でその場を乗り切る。
営業部に居る人にとっては必須条件だし、スキルみたいなものだ。
まあ、そのせいで俺の機嫌が悪くなって行くんだけど。
『アレ、飲んでいないのかね??飲んだほうが良いぞ、ココの酒は格別だからな!』
🐯「い、いやっちょっ」
そう言って何か言おうとするテヒョン先輩を無視して強引に酒を渡してくる。
そう言えば、テヒョン先輩お酒強くないんだっけ。
テヒョン先輩のグラスをまじまじと見つめるソジンと呼ばれた人。
まず目がキモいし、さり気なくボディータッチしてるし。
コイツ嫌い←
俺は怪しいと思い、咄嗟の判断で前に出た。
🐰「テヒョン先輩、お酒あまりお強くないんですよね、良ければ代わりましょうか?」
俺の言葉に、ソジンさんがムッとする。
ソジン「なんだね君は」
🐰「失礼しました、〇〇部所属のチョン・ジョングクです。はじめまして、ソジン先輩。」
ソジン「自己紹介なんて求めてないんだが・・・」
🐰「これはこれは、失礼いたしました、親に初めて会う人には挨拶せよと教えられてきましたので
挨拶しない人は、礼儀がない、良くない大人と言われたので。申し訳有りません。」
ソジン「・・・君は私を挑発しているのかね?」
🐰「いえ、滅相もございません、ただ嫌がる相手に無理やりお酒を勧めるのは
いかに韓国と言えど、マナー違反です。それによりどう周りに迷惑かけるか分からない以上は、
これ以上はお控え下さい。男と男でも、超えてはいけない線はありますし、
ソジンさんも、変な目で見られることは本望では無いのでは?では、私達は少し席を離れますね」
そう言い、軽くテヒョン先輩の腰に腕を回して会場を去る。
途中で、もしかしたら迷惑だっただろうかと思ったがいまさら遅いと、少しだけ
テヒョン先輩の意見を聞かなかったことに後悔した。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!