🐥「……ジョングガ、これ知ってる?」
少し間を開けて話し始めた先輩が自分のスマホの画面を俺に向ける。
それは、決定的な証拠にはならないものの、悪くすれば二人に亀裂を入れかねない一枚の写真だった。
テヒョ二ヒョンらしき人が、誰かわからない女と腕を組んで人混みの多い通りを歩いている写真。
それは、明確に二人を写していたわけでは無かったが雰囲気は似ていたし、
ファッションなど、テヒョ二ヒョンそのものだった。
🐰「いえ……知りません……でした」
🐥「これ、ちょっと会社で話題にって言うか、何かちょっと、その‥噂になってて」
🐥「ほら、テヒョンア前付き合ってるって会社に公表したじゃん。少し会社が荒れて、
誰だ誰だってなったやつ」
🐥「それで、どっかの部の人からこの写真が流れてきて、お前は知ってんのかなって……」
🐥「最近あいつ、全然仕事に集中できてないし、……ごめん、こんな事親友の俺が言って良いのか
分かんないけど、言わなきゃいけないって思ったんだ。」
そこまで言って、ジミン先輩は不安そうに俺を見る。
俺は、一瞬なんて答えて良いのか分からなくなって、
🐰「大丈夫です、何か事情があったのかもしれないですし、第一これがテヒョ二とヒョン
決まったわけじゃないので…‥」
と答えた。
ここで、俺は何があってもテヒョ二ヒョンを信じます、とかカッコつけて言えたら良いんだけど、
そんなの無理だ。
だから、俺は自分を安心させる後ろめたいことしか言わなかった。
🐰「ジミン先輩、すいません、今日はもう帰ってもらえますか……」
🐥「うん、ごめんね。」
結局、ジミン先輩はごめんねとしか言わなかった。
きっとあの人も悩んだんだ。
俺に言うかどうか、でも、俺のことを思って、言ってくれたんだ。
だけど、……これからのことを考えるとありがとうございます、教えてくれて、
とは言えなかった。
暫く、飲み残したカップを見つめていると、廊下から足音がして、
ゆっくりとテヒョ二ヒョンが出てくる。
やっぱりそこには、いつもどおりのヒョンがあるだけだった。
リビングへ戻ってきたヒョンに聞く。
🐰「ねえ、ヒョン……、浮気、したんですか?」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。